2015/01/09(Fri)


とてもとても悲しいことがわたしの身に降りかかった。速い話が失恋してしまったのだ。恋か憧れか区別もつかないような淡い想いだと思っていたけど、君のこと好きじゃないんだと本人から告げられたら、こうやって机に突っ伏してめそめそと泣いてしまうぐらいにはあの人のことが好きだったらしい。めそめそと泣いていると教室に誰かが入ってくる気配がした。顔を上げると同じクラスの真波くんがいた。真波くんはわたしを見て女の子のように大きな瞳を真ん丸にしていた。びっくりしている。一回も話したことのない真波くん。何考えているかよくわからない男の子。不思議な男の子の真波くんだ、とぼんやりと思っていたら瞬きをした瞬間涙が頬を転がり落ちて、ああそうかわたし泣いてたんだ、フラれて泣いてたんだ、そうだった、悲しいんだ、と思ったら、また涙がぽろぽろ零れ落ちはじめた。すっかり滲みきった視界。真波くんがどんな顔しているかもわからない。ぐすぐす鼻を啜っていると、足音が聞こえてきた。目をごしごしと丸めた拳で拭った時、暖かくて固い感触が頭に触れた。晴れた視界が捕えたのは穏やかに微笑んでいる真波くん。真波くんはゆっくりと口を開いた。

「涙がたくさん出ちゃったあとは、おさまるまで景色見るのがいいよ」

それだけ言うと、真波くんはわたしの頭から手を離した。ゆったりと踵を返し、何事もなかったかのように去っていく。わたしはただ口を開いたポカンとするばかり。なんだかよくわからない。今のはアドバイスだったのだろうか。真波くんの言葉を浮かべながら、言われた通りに窓の外に目を遣る。教室から青々とした山と海を反射したのではないかというくらい青い空が見えていた。真波くんみたいな景色だなあ、と思った。


唐突に - more

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -