2014/10/19(Sun)





バスに揺られながら、横でうつらうつらと首を小さく上下に動かしている吉井を見て、罪悪感が湧き上がる。オレを、尊敬している、と思ってくれていたなんて。むず痒い。そして、罪悪感。

こんなこと、周りの奴に言ったら、お前今までさんざんオレは凄いって自画自賛してたじゃねーか!と突っ込まれそうだが。オレは、普通なんだ。普通に、好きな女子の水着姿を見たいと思う、普通の、健全な18歳なんだ。

なのに、尊敬している、とか。

…今日、いつもの二倍は邪な目で見ていただけに、罪悪感が…。

ちら、と横目で吉井を見ると、窓に頭をぶつけそうになっていた。慌てて肩を掴んで、こちら側に引き寄せる。塩素の匂いが鼻をくすぐった。オレの肩に頭を預ける形ですやすやと寝息をたてて寝はじめる。

邪な思いしかない。

いくら一番後ろの座席といえど、公共の場でやったらいけないということはわかっている。わかっていても、とめられないのが、本能というやつで。

…少しだけ。

目を閉じて寝ている吉井の唇に、かすめるようにして、唇を重ねる。相変わらず、柔らかくて気持ちいい。もう一度したくなるけど、流石にそれはいけない、と思って、前を向き直した。

「尽八ー、ポッキーいるか…って、ヒュウッ!あついあつい」

オレの肩に頭を預けて寝ている吉井を見て、隼人が軽く囃し立てる。

「え、あ!?ま、まあな!ワッハッハツ!!」

された本人すら気づかない、小さなキス。知っているのは、オレだけ。



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