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名ばかりの肩書きじゃなかったらしい。


05


「…え?」
「だから、一緒に行くってば」
「君が?」
「え、誘ったのはハオだよね?」
「いや、急にどうしたんだい」


相太がいなくなってから一週間。
ハオは今まで通りちょくちょく顔を出していた。
一向に諦めないハオの様子に屈した…というわけではなく、自分の意思で私は彼の仲間になろうと決めた。
まあ相太の一件でお世話になった分も兼ねて。

今まで一度も頷かなかった私が仲間になると言い出した衝撃は、見事にハオの笑顔を真顔に変えた。


「何なの?いやなの?」
「いや…少し驚いただけだよ」
「相当驚いてるように見えるけど」


ふん、と鼻から息を吐いてハオを見る。
ハオはすぐにいつものあの笑顔に戻ると、彼の持ち霊であるスピリットオブファイアを具現化した。
初めて会ったあの日以来だ。
二回目だというのに、その巨大さに驚く。
スピリットオブファイアが掌を差し出す。
おそらく乗れという意味だ。
ハオと共にその掌に乗ると、スピリットオブファイアが空中に舞い上がった。


「うわ!すごい!!」


ぐんぐんと高度を上げていって街がかなり小さくなっていく。
自分が飛べたらこんな感じなのか。
全然揺れないし、飛行機よりも快適かもしれない。
しばらく空中遊泳を楽しんだところで下手に動いて落ちるのも怖いから、座っているハオの隣に腰を下ろした。


「今からどこに行くの?」
「僕の仲間に会いに行くよ」
「ハオの仲間…」


どんな人達なんだろう。
同い年くらいの子達が集まっているのだろうか。
ハオだって私と変わらないくらいの年だから、きっとそうに違いない。

仲良くなれるといいなあ。





「………」
「さて、新しい仲間を紹介するよ。なまえ」
「………」
「ほら」
「…っあ、えっと、なまえです。好きな食べ物はオムライスです。どうぞよろしく…」


目の前に並んでいるハオの仲間達からのなんとも言えない威圧感を感じながら自己紹介をする。
同い年くらいの子なんてとんでもない。
ハオの仲間達は様々な風貌の、そのほとんどが大人だった。

お世辞にも歓迎されているとは言えないその空気に耐えられず、小さく以上ですと付け加えてハオの一歩後ろに下がった。


「じゃあお前達、もう行っていいぞ」
「はっ」


ハオの一声に傅いた仲間達は何か用事があるのか散り散りにその場から去って行った。
無事自己紹介が終わって、安堵の息を吐く。
ハオの仲間達は手練れのシャーマンばかりだ。
見ただけでわかる。
あんな人達を束ねるハオって、一体。


「ねえ…ハオって何者?」
「未来王だよ。言っただろ」


言ってたけど…
聞きたいのはそういうことじゃなくて、と言いかけたところで後ろからハオさまーと可愛らしい声が聞こえてきた。
振り向くと、小さな黒人の子供が駆け寄ってきている。
くりっとした目に短い手足。
拙い動作で駆け寄ってくる仕草。

かっ…可愛い…!

そのままぽふ、とその子はハオに抱きついた。
なになに何なのその可愛い生き物。


「オパチョ、彼女がなまえだよ」
「なまえです。よろしくね」
「おれオパチョ!よろしく」


オパチョがやってきて見上げてくる。
近くで見るとますます可愛い。
オパチョは私をじっと見つめて、何故か驚いたように首を傾げた。
そしてそのまま不安そうにハオを見上げる。
そのオパチョの反応が何か分かっているのか、ハオはオパチョに笑顔を返す。

…何のアイコンタクトだろう。

それを聞く前にオパチョが私に向き直ってにっこりと笑った。


「なまえ オパチョもオムライスすき」
「本当?じゃあ今度うちに食べに来る?」
「いく!たべる!」


そんな顔で言われたら腕を振るうしかないじゃないか。
ふわふわの!と主張する可愛さったら。
オパチョいい子だねーと頭を撫でてやるとますます嬉しそうに笑った。
〜〜〜っなんて可愛いんだ、オパチョ!
連れて帰る!


「ハオ様」
「ラキストか。何だ?」
「本日五十の魂がすでに集まっております」
「五十か…後で食わせるよ。ああ、そうだ。ラキスト」
「はっ」
「彼女がなまえだ。よろしく頼むよ」
「ラキスト・ラッソだ」


私がオパチョにデレデレになっている横でハオの元にやってきた大男。
彼はハオに促されて私を見ると、名乗りながら手を差し出してきた。
その手を握ると彼の巫力がピリ、と伝わってくる。
この人、相当強そうだ。
宜しくお願いします、と言うとラキストは表情を変えずに頷いた。


「なまえ」
「?」
「僕はこれから用事があるから、戻るまでオパチョを頼めるかい」
「あ、うん」
「ラキスト。なまえを彼女の神社にオパチョと共に送ってやってくれ」
「はっ」
「じゃあ二人とも、頼んだよ」


ハオはそれだけ言うとスピリットオブファイアに乗って何処かにいってしまった。

未来王の仲間達