12.ダサいだけやないか

俺が財前の言葉にイラついたままコートに行くと、やっぱりというかなんというか、ユウコが居って手を振ってきた。

…やっぱり、ミーハーなんかやないわ。

ミーハーなら、迷わず白石とか謙也んとこ行くしな

「ユ〜ウ〜ジ〜…」

っ!?なんや、この地獄から聞こえてくるような声!?
あわてて後ろを振り向く。すると…

「…なんや、ヘタレか

「いや、ヘタレちゃうっちゅー話やからな!!」

「ちっ…聞こえとったんか…」

「ちょぉぉぉ!!白石お母さーん、ユウジが反抗期やわーっ」

あ、どっか行きよった。用事あったんとちゃうんか?
…ま、ええわ。

《おい、ユウジ!早よ練習始めや!二氏さん見とるで!》

し、白石っ…
思わず背筋が伸びる。

「ぷっあははっ…」

…ユウコ?

「お前の物真似かぁぁぁぁ!!」

「せやでー」

「物真似でもなんでもええから早よ練習せぇ!!」

ゴツッっとグーが落ちる。

「った…誰やっ…って…」

「ユウジ、部長の顔と名前を忘れたとは言わせへんで?」

「げ…」

「ユウ君〜」

「小春〜!!!」

黒くなりかけの白石をスルーして小春に駆け寄る。

「今日は、お笑い講座やなくてラリーしましょv」

「ええで♪」

ほんま、小春は可愛えなぁ…ユウコは…
って何、ユウコのこと考えとるんやっ…

「…」

ま、考えたって仕方ないわ…
早よラリーしよ。

「ユウ君!いくでぇ〜。らぁ〜…ぶっ!!」

いきなり!?
なんとかボールを打ち返す。

「腕、鈍ってへんみたいやな!!」

それから、小春は際どいながらも、返せないことはないとこにボールを打ってきた。
あれ、これラリーなんか?

「ユウ君!!気ぃぬいとったら顔面当てるで!」

「はぁ!?…いっっ」

額にいきなり痛みが走る。
それから俺の意識は遠のいて…





目を覚まして、一番に目に入ったのは…

「ユウコ…?」

何故か、少し頬を赤く染めたユウコやった。

「っ…あ、ユウジ起きたんか〜」

…可愛え…って…小春の方が…あれ?

「部活、もうすぐ終わるで?」

「ほんまか!?」

最悪やわぁ…

「ユウジ、着替えてきーや?」

「おん!!」

―――――――――

で、着替えてユウコと途中まで一緒に帰って今に至る…
…なんやねん。俺、今日ダサいだけやないか

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