21.5


「柳生、どうしてこの格好で話しかけたんじゃ」

「すみません…困ってる様でしたので」

「全く…お前さんってやつは…」

この会話を聞いて、違和感を覚える人は何人いるだろうか。
話しかけたのは、確かに柳生だ。だが、柳生は敬語を使っていなかったはずだ。

「今度から、入れ替わっているときは気を付けます。」

「そうしてくれ。」

そう、この2人は入れ替わっていた。
そうすれば、柳生が敬語じゃなかったのも頷ける。

「にしても、貴方が柳生と言いかけるから、名前だけ実名を使うはめになったんですよ?」

「それはそれでネタばらししたときに面白いからええじゃろ。」

「…あと、私の姿の時は安易に女性の下の名前を呼ばないように。」

「それぐらい我慢しんしゃい。」

「そうですね…さん付けとくん付けは忘れないように。私は、呼び捨てしませんから。」

「それを言うんじゃったら、俺の姿の時の女の呼び方は呼び捨てかちゃん付けの。」

「…わかりましたよ。」

「それとー…」

「あぁ、あとはメールで言ってください。」

「わかったよ。」

ここで、2人が入れ替わった時の注意点について一区切りついた。
それから、2人は帰路につく。
交差点に差し掛かり、柳生は左に仁王は真っ直ぐ進む所まで来た。

「そんじゃ、また明日のぅ…。」

「はい。」

そこで終わりと思い、柳生は自分の家へと向かう。

「あの子から連絡くるのが楽しみじゃの…」

仁王のそんな言葉は、柳生に届かなかった。


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