主人公は高2
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今まで、同年代の子にすら恋をしたことがなかった私。ましてや、教師に恋するなんて思ってもみなかった。白石先生に出会うまでは…。
白石先生に出会って、一目惚れ。好きになった自覚を持ってから、女としてじゃなくても、生徒としてで良いから好かれたくて、何かあるとすぐに先生のところに行って仕事を手伝ってる。
「相変わらず、風祭はええ子やな」
そんなことも知らず、先生は微笑みながら私にそう言う。
違うのに…先生はなにも分かってない。そう思っても、口には出さずに自分なりの笑顔で「そんなことないですよ!」と謙遜する。
ここまでは、いつものこと。
そう、ここまでは
いつもだったら、先生は「そんなことあらへんけどなぁ…」と言いつつも自分の仕事を片付ける。でも、今日は、真剣な顔でこっちを向いたまま。
「どうかしたんですか?」
そう聞くと、少し緊張した面持ちで言葉が発せられる。
「…先生な、好きな人できたみたいや。」
…嘘…でしょ?そう言いたいのを我慢して、言葉を選びつつ言う。
「…えっと…そうなんですか。どんな人なんですか?」
白石先生がすこし顔を輝かせる。そんな白石先生をみると、ズキッっと胸が痛む。
「いつも仕事を手伝ってくれてな、優しいんや。笑った顔も可愛え。言うことなしの子や。」
…あぁ、やっぱり生徒として好かれるだけじゃ嫌だ。
そんな言葉が胸に渦巻く。
「その人な、結婚もできるんやけど、立場的にはしばらく無理そうやねん。」
…なんで私に言うの?止めてよ。
「付き合えたらな…」
その言葉に私の何かが切れた。
ガタッっと音をたてながら立つ。
「風祭?どうしたんや?」
「今日は帰らせてもらいます。」
「…おん、そうか。」
ただでは帰りませんよ?
白石先生のネクタイを掴んで引き寄せ、唇を重ねる。
そして、クルリと後ろを向いて帰り始める。
「美香!!!」
そんな声が聞こえても振り返らない。
あなたが想うほど私はいい子じゃないの。
(一本とられてもうた…)
(俺が好きなのは美香なのに。)
(尻に敷かれるのは勘弁や…)
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