「んひゃあ、や、やあっ、あっあう、くら、倉間くっ」
「っは、先輩の中、っやば」
肌と肌とが激しくぶつかる音と、結合部のやらしい音だとかが狭い部室に響く。
「ふうっん、あぁんっんっあ」
「先輩、…先輩っ!」
「んあぁあああっ!や、そこっやだ!」
無理やり彼女の顔をオレに方に向けさせて、柔らかい唇どうしをくっつける。くちゃくちゅと音を立てながら舌を絡めると、名前先輩は遠慮がちにオレの背に手を回してきた。やべえってそれ。反則だろ。
「ひやぁああんっ、あ、はげしっ、からあっ!」
「んっ、名前…さんっ」
「…っ、ん、典人くんっ」
先輩の形の良い唇からオレの名前が発されたとき、もう心臓が飛び出すかと思った。名前呼びとか、可愛すぎるから、抑えられなくなる。
「ひあっ、あぅ、あぁあああっ!」
「……っは」
先輩が達したのを確認してから、オレも彼女の細い身体を抱きしめて欲望を放つ。
「は、はうっ、ん、はあ、はぁっ」
「っ、は、はぁ…はぁ」
やらかした。事後に頭に過ぎったのはその5文字だった。オレは自らの欲望のままにマネージャーである、名前先輩を無理やり犯してしまった。こんなこと、許されるはずがない。
オレはただ、先輩が好きで、好きで。彼女がオレに眩しいくらいの笑顔を向けてくれるだけで嬉しかったのに。
もうそんな関係に戻れないのかと思うと、涙がこみ上げてくるが、必死にそれを抑えて、先輩に向き直る。
「…すみませんでした」
「あ…うん。大丈夫、だよ。あの、倉間くん……」
「…なんだよ、倉間くんって」
「?くら――っ」
「だからっ、ちげえよ!……オレの、名前…っ」
きっとオレの顔は赤くなっているだろうが、名前先輩はオレの言いたいことを把握してくれたのか、にこりと微笑んでくれた。
「典人くん」
「っ、な、なんすか」
「ふふ、呼んでみただけだよ」
するりと先輩の手が伸びてきて、頭をわしゃわしゃと撫でられる。子ども扱いされるのは好きじゃないけど、よかった。
また、先輩がオレに笑顔を向けてくれて。
120520