「あっきーお!」
「あ?」
「いや、明王が私のこと呼んだじゃん。用事ってなに?」
「…………ちっ」


人を呼んでおいて舌打ちまでされたし。メールで呼ばれたから来たら、当の本人はバナナを食していた。美味しそう。


「ねぇ用がないなら帰るよー?」
「っ…!」


一瞬だけ明王の大きい目が見開かれた。その目で、その視線で貫かれるのは何かちょっと、恥ずかしい。あ、もしかして。明王ってばぼっちが嫌で…誰かに傍にいて貰いたかったのかな。やだ、もしそうだとしたらかわいいのに!


「ねえ」
「……あんだよ」
「明王もみんなとサッカーしたかったの?」


少しだけ、明王の身体がぴくん、と跳ねた。わっかりやすいなあ。


「誰だってぼっちは嫌だもんねえ」
「…………」
「でも大丈夫………ん?」
「…う………っよ」
「え?」
「うっせーよ!オレだって、ほんとは、」
「あ、きお」


明王は唇を噛みしめて耐えているようだった。そうだよね。ほんとは明王は凄く努力家で、すごくサッカーが大好きで。

すごくすごく、優しいのに。


「私が傍にいるよ」
「…おまえなんか、」
「そしたら一人じゃないよ」
「っ……お前ってさあ、ほんと…」
「んー?」
「ばーか!」


そんな小学生っぽい言葉を発した明王の方を見てみると、いつもみたいに意地悪な顔だったけど、滅多に見せない最高の笑顔を私に見せてくれた。


「みんなのこと一緒に行こ?」
「、ん」


立ち上がるとワンテンポ遅れて彼も立ち上がる。そんな明王の頭を撫でてあげて、よくわからないけどぎゅってしたくなったから、抱きついたらうぜえって言われた。
やっぱ明王はちょっと意地悪な明王でした。







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