コレ(裏ナシ)の続きっぽいの






「あの、ふど……明王くん」
「あ?」
「ほら、この前のお返し」


3月14日。所謂ホワイトデー。バレンタインに超絶美味しいチョコを明王くんから貰ってしまったから、私も頑張ってお返しを作るつもりだった。でも、何度お菓子作りに挑戦しても、出来の良いものはできなくて、色々と考えた結果、近くの美味しいケーキ屋さんのチーズケーキを渡すことにした。あと、バレンタイン以来、何かと明王くんと話すことになったけど、未だに名前で呼ぶのには慣れない。それをわかっているのか、明王くんはそのことをネタにしてくる。ちょっと悔しい。


「お、うまそー、もしかしてお前が作った?」
「え、あ…うん!頑張っちゃった」
「嘘つけ。コレ駅前のケーキだろ」
「……えへ」


やっぱ明王くんにはお見通しだったみたい。というか、このケーキ屋さん知ってるってことはもしかして。


「明王くんって甘党なの?」
「…うっせえ」
「あ、バレンタインのチョコすっごく美味しかったし、明王くんって何でも出来て凄いよね」
「あたりめーだ」


ふん、と鼻を鳴らす彼はいつもよりちょっとだけ上機嫌だった。


「つーか3倍返しの約束だっただろ」


こんなんじゃ足りねえなあ。

明王くんの言葉に体が跳ねる。やばい。もうその言葉を忘れていると思ったのに。


「な、なんのこと…かなあ?」
「まだ何か隠し持ってんだろお?」


逃げようとした私を背後から捕えて、密着してくる。後ろから聞こえてくる彼の笑い声が妙に怖い。押し退けようとしたけど、力じゃ全く敵わなかった。それに、明王くんは耳を舐めてきて、ひっ、と変な声が漏れた。


「うっ…やだ、よ、明王くん…っ」
「……チッ、おい!泣くなよ」


後ろから抱きしめられて、明王くんの温かさを感じる。それから生理的に流れた涙にちゅ、っと軽く唇を当ててきた。顔を上げると彼と目があう。


「名前ちゃんさ、勘違いしてねえ?」
「…?」
「オレはこんなこと好きになったやつにしかしねえよ」
「…あき、おくん?」
「っだから!」


名前のことが好きなんだよ!お前にしかチョコ渡してねーし、お前以外守りたいと思わねえ!

突然の告白に何も考えられなくなる。うそ、だってあの明王くんが私なんかを好きになるはずないもん。冷めてるし、明王くんに渡すはずだったお菓子も自分で作れなかったし…!


「ま、このケーキじゃお返しにならねぇし、」
「でも、ここのケーキ好きなんだよね?」
「好きだぜえ?でも今は名前ちゃんの方が食べたい」


ぎらっと明王くんの目が光る。これはもしかしなくても今度こそヤバい状況なのではないでしょうか!思わず後ずさったけど、彼に阻止された。


「顔、真っ赤」
「ううう…」
「嫌なら嫌で抵抗すればいいのになんでしねえの?」
「…っ」
「それならオレの好きなように解釈するけど、いいよなあ?」








確かにチョコを受け取ったんだからお返しはしなくちゃいけない。でも、今こんな風になってしまったのは本当にお返しのためだけなのかな。そうじゃ、ない気がする。明王くんと一緒にいると、あったかい気持ちになるし、私もきっと、明王くんのことが好きなのかもしれない。だから、彼のことを受け入れることができた。

ぐちゅ、ぬぢゅっぬぢゅっ、ぐちゅぐちゅぐちゅぅ

激しく揺さぶられながら、ただただ彼の名前を声にすることしかできなかった。



「あ、あきおく…ッあきおくんっ」
「んっ、名前」


腰を揺らされる度に、掻き混ぜられた愛液がにちゅ、ぐちゅ、と卑猥すぎる音が耳に入ってくる。手を伸ばすと、優しい笑みを浮かべてくれた明王くんがまるで王子様みたいにその手を握ってくれた。


「んぁあぁあッあ、あぅ」
「他の女なんて興味ねーんだ」
「ひあっあっ、はっ、ぁああっ」
「名前がいいんだよ」


ぐぢゅぐぢゅぐぢゅっ、ぐぷっぐぷっ

より深くまで咥えこまされて、激しくピストンされるぎゅう、って目を瞑ると、ちゅ、っとキスを瞼におとしてくれて、また涙を拭ってくれた。


「はっ、ん、はぁ」
「んぁ、はぁ、あっ、あんっ」
「名前、名前…!」
「ひゃあぁあああんっ」


頭が真っ白になった瞬間、明王くんが小さく呻くのが聞こえて、ナカに入っていたものが取り出され、太ももに何かをかけられた。


「…はぁ、名前…大丈夫か?」
「ん、はぁ…だい、じょぅぶ」


未だに解けていない手を眺めながら、こつん、と明王くんの胸板に頭を預けた。


「なあ、今からヒマ?」
「?…う、うん」
「じゃあ名前が買ってくれたケーキ、いっしょに食おうぜ」
「私も一緒に食べていいの?」


明王くんがここのケーキを好きって言ってたから、一人で食べたいとてっきり思っていたから意外だ。


「オレだってそこまでケチじゃねえよ」
「明王くん…!」
「おら、早く行くぞ!」


身なりを整えて、ぐい、っと手を引かれて足を動かす。どうしよう、そんな少し強引な彼がかっこよく見えるなんて。それでも心が温かくなってきて、ありがとう、と伝えると、うるせーよ、なんてちょっと照れた明王くんが見れてまた笑顔になった。






(たまたまペンを拾ったときにオレに満面の笑みを見せてくれたから)
(そっから名前しか見えねえから責任取ってくれよな)





120314
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