静かな部屋で咳をしたら、意外と響く。熱出るとか、ほんとうにありえない。今日は京介の大切な試合だったのに。ゆっくりと身体を動かすと、やっぱりまだ頭痛がする。それでも時計を見てみると、針が午後4時を指していた。もう、試合終わっちゃったかなあ、そんなことを頭の端で思っていると誰かが私の部屋にコンコン、とノック。誰だろうと思っていると、ガチャ、と扉が開いた。


「名前、起きているか」


心地いい、京介の声が部屋に響く。まだぼんやりする頭で彼の声の方を見てみると、そこにはユニフォーム姿の京介がいて。手にはスーパーの袋を引っ提げていた。


「大丈夫か。あまり無理するな」
「…試合は、どうしたの?」
「それなら心配ない。ちゃんとゴールも決めてきた」
「そっか、よかった…!」


本当に良かった。京介の顔からして、たぶん今日の試合も勝てたんだね。ほぅ、っと安堵の溜息が漏れた。


「ん、まだ熱いな…少し待ってろ。薬買ってきたから」


私の額に手を当てて不安そうな顔をする京介に私は苦笑いした。京介は、勝ってきてくれたらしい薬とペットボトルの水、栄養ドリンクと食材をベッドの近くの机に並べた。


「食欲はあるか?」
「んーん…あんまり」
「でも食べないと余計に体力を消耗する」


ごにょごにょ、と一人で呟いた京介は、閃いたように私に顔を向けて。


「台所、借りてもいいか?」


と、訊ねてきた。







「名前できたぞ」
「…お粥?」
「ああ、まだ熱いからオレが冷ましてやる」


あれから数分。京介はお粥を私のために作ってくれたらしい。やっぱり優しいなあ。昔から優しかったけど、最近…天馬くんと出会ってからは特にそう。

ふー、ふー、と一口サイズに取ったお粥を冷ましてくれて、それを私の口元まで運んでくれた。


「名前、口開けろ」
「ん…」
「…熱くないか?」
「ん、だいじょ、ぶ」


よかった、と京介は微笑んでくれて、片手を握ってくれる。あったかい。風邪をひくと少し心細くなってしまうから、京介の温もりにホッとする。家までわざわざ来てくれて。傍にいてくれてよかった、そう思いながら私も彼の手を握り返した。


「もうちょっと、傍に来てほしい…」
「!…でも、」
「あ、京介に風邪移っちゃうかもしれないね。ごめん、急に変なこと言って」
「…いいのか?」
「へ?!」
「名前はオレが傍にいてもいいのか?」


曖昧な返事する彼の手を離そうとしたら、京介の方から強く握り返してくれた。驚いて視線を上にあげれば彼とばっちり目が合う。


「オレに風邪が移って名前が元気になるならいくらでも傍にいてやる」
「で、でも…!」
「大丈夫だ。少なくともお前よりは頑丈にできてるからな」


すまない、と短く断りを入れて、京介の体に包まれた。簡単に体勢を崩した。腰に両手を回してぎゅうっと、私からも抱きしめる。やっぱり、人肌は安心する。


「キス、したい」
「ふふ、いいよ」


京介を見上げれば彼はゴクリと喉を鳴らした。そして私の唇に彼の唇が重ねられた。


「……はっ…」
「んんっ…はぁ」
「、風邪なのに、ごめんな…?」
「京介が、いてくれるだけで私は嬉しいから…」
「……っ反則だろそれ」


髪を優しく撫でながら布団の中に入り込んできて、京介は私の身体に触れた。同時に自分のくぐもった声と彼の私の首筋に吸いつく音と熱い吐息が聞こえる。


「ん……」
「……名前、」



吸い付きながら手を下の方に動かしてくる。くちゅり、水音がした。濡れてる…、なんて耳元で囁かれて下部が疼いた。


「あ…、っん…」
「嫌だったら突き飛ばしてくれていいから」
「んっだいじょ、ぶだからっ」


中に京介の長い指がゆっくり入ってきた。私は息を荒げて、彼に抱きつく。


「ナカ、熱い…」
「はぁんっ、あっ、いい」


指が増やされて動かされた。京介は私の名前を呼んで小さく微笑んだ。くちゅくちゅと音を立てながら不規則に中を擦ってくる。


「名前…」
「んぁ、あっ、あぁあんっ」
「…可愛い」
「…んはっ、はぁ…指、もういいからっ…」
「いいのか名前?」


きゅうきゅうと京介の指を締め付けているのが、自分でも分かる。物欲しそうにしているのが。はしたないと頭の中ではわかっていながらも、やっぱりもう、京介のが欲しい。


「も…ぉねが…っ、ぉちんちん、いれてぇ…っ」


指をさしこまれているそこから愛液が溢れる感覚を感じた。ようやく指を抜き出し、京介は私の足を持ち上げて、秘部に京介のを宛てがった。

ずちゅん!

根元まで深々と咥え込まされ、さらに下から私の身体を労わるように優しく突き上げられる。


「あは…ぁッ!あっ、ん…っ」
「はっ…ぁ」


打ち付けられる度に中がキュウッと締まるのが自分でもわかってしまう。中が擦れて、堪らない。


「はんっ、あっ、んっ、いぃっ…もち、ぃ…っ」
「は、オレも…いいっ」


彼は私の顔を引き寄せ、再び口づけをした。私の風邪が京介には移りませんように…!その間にも京介は腰を揺らし律動を繰り返す。



「あぁっは、はあっ…んああっ」
「名前…っ」


私の両手を掴んで、思い切り揺さぶりを掛ける。小刻みに打ち付けられると、肌を打つ音が響いた。いいところに丁度擦れて、下腹部に力を入れて中を締め付けると京介は表情をしかめた。


「んっ、あっあっあっ、いく、いっちゃ…う…!」
「…はっ、名前…っ」


びゅく、びゅくびゅく。

最奥で大きく突かれて、目の前が真っ白になった。中では京介のが大きく脈打ち、精が放たれた。ドクドクと注ぎ込まれて、京介で充たされている。そう思うと、何だか、顔が緩む。


「大丈夫か…?」
「うん」


京介のがまだ挿入ったままで、私の心配をしてくれる。私は両手を伸ばし、京介の首に絡めた。自分の方に引き寄せてぎゅっと抱き締める。


「疲れただろ?処理はオレがするから……あ、」
「ん、」
「…おやすみ、名前」






温もりにつつまれて
(いま動いたら名前起こすだろうし)
(でも、ナカに挿入ったままはまずいよな)

(まったく、オレはどうすればいいんだ)





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