閉鎖された空間に、たくさんの人。人混みなんてごめんだと狩屋は小さく溜め息をついた。
今日は朝錬。しかし、寝坊してしまったから電車でないと間に合わない。仕方なく電車を利用することになったが、他人と密着せざるを得ない状況に、再びため息が漏れた。
動き出して数分。狩屋は、違和感に眉を寄せた。
(ったく、誰だよ)
最初は動いたひずみで手が当たったのだと思っていたが、どうやら違うらしい。
その手は、確かな意思で狩屋の尻を撫でていた。
「…っ?!」
今度は、学生服の上から股間を触り始めた。ありえない。狩屋はぎ、っと後ろにいるらしい痴漢を睨んだが、その刹那、大きい目を何度も瞬きさせて驚いた。
(名前さん…!)
そこには微笑を浮かべた先輩である名前が立っていた。意外な人物に狩屋は動揺を隠せない。
そんなことをしてるうちにもペニスを下着の上からなぞられる。
「…おはよう狩屋」
「え…あ、名前さん…!」
狩屋のペニスを、ぐり、ぐりと下着越しに扱きながら、名前は楽しそうに微笑む。
どうして、名前がこんなことをするのかがわからない。狩屋は疑問で頭がついていかなかったが、与えられる刺激にじわじわと下半身が反応していく。
「意外と狩屋も楽しんでるんだねえ」
「そ、んなこと…っ」
「ココ、もうこんなにして…やーらしい」
彼女は下着をずらして狩屋のペニスに直に触れた。そしてそのまま上下に擦りだす。
「ッ、う、ぁ…ふぁっ」
周囲に聞こえないように、必死に唇を噛みしめても、隙間から漏れる声。後ろからは彼女の楽しそうな笑い声が響く。
もう、ダメだ。そう思った瞬間、ペニスを擦る手が緩くなって衣服を元通りに直された。
「あ、ふ…っ、名前さ…?」
「時間切れだね」
窓の外に目をやると、下車する駅に間もなく到着するようだ。途中で止められても熱は止まらない。それどころかイきたくて、下半身を見ても天を向いて主張している。
これをどうしようかと狩屋は悩んでいると、名前が彼のそこををやわやわ、と揉みながら妖しく微笑んだ。
「ほら、最後までシてあげるからトイレいこう?」
「……はい」
「ふふ、狩屋可愛いなあ」
囁いてきた名前が電車を降りるのを見て、狩屋も彼女の後を追った。
天馬くん、円堂監督、鬼道コーチ、ごめんなさい。今日の朝錬は行けそうにありません。
120216