比例、真逆




いきたいと願っていた。
いきていていいと言われたかった。
優しい声にすがりつきたかった。
誰にも咎められずに真綿の柔らかさに包まれていたかった。

だけどそれは許されず、望む結果を手にする前に目の前から泡となる。

重く揺れる水の中、見えた淡い光が、きらきらと淡くさざめいて。
伸ばした腕がそれを掴もうと、開いた掌で掴もうと藻掻くけれど、触れた瞬間に小さな気泡となる。

触ろうとすればする程に、光はゴポリと水音を立てて、逃げるように分かれていくのだ。
水の中を悠々と踊り、水底に落ちていく自分とは逆に光は細かい泡となって、音もなく水面へ上がり弾ける。

ただ静かに、何にも知られることなく。

そしてこの身は水の中に誰にも知られず沈んでいくのだ。
音もなく、光もない。ただ静寂だけが佇む場所に横たわる。

受け取れなかった哀しみから零れ落ちた涙さえ、音も姿も見られずに、暗い深い水底に、解けて取られて消えていく。

嗚呼。今から自分は眠るのだ。深く深い眠りの其処に。






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