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人と話すよりも自分の世界で好き勝手した方が人間、楽に生きることが出来る。
楽しいことは好きだ。痛いことは嫌い。感じることを感じたままに話す。
単純だけれどそれでいいじゃないか。

それを敢えて隠して、あたかも弱味であるかのようにちらつかせれば、情け深い人間には同情され易くなる。
真に迫る演技や、重い過去が伴えば、心理戦では有益な武器になるから、相乗効果をもたらすだろう。
使えるものを使える時に最大限有効活用するのは、観察眼と頭が必要だがこれを身につければ人生は生きやすい。
状況判断でその都度、臨機応変にするのはその人の器量次第だ。

嘘を吐く人間なら、ちょっとした日常会話の間に混ぜ込ませれば、大抵誰でも使える。
心理戦が苦手という人間と言えども、完全に使えない訳がないのだ。

何故ならば、この世に嘘を吐かない人間などいるはずがないのだから。
日常でついた嘘は、どんな小さなことでも嘘になる。
例えそれが他人や誰かの為についたものであろうとも、変えられない事実だ。

欺瞞的でつくられた世界は、欺瞞的にしか物事を見られない。
捻れていて、そして歪んでいる世界に生まれた瞬間から、この目に映る真実や事実は、歪んだフィルターを通して写り、嘘偽りに変わる。

極端に言えば、嘘吐きしかいないのが世界だ、という見解に至るようになる。

だからもし。
世界でただ一つ、嘘偽りない事実を言うとしたら、「この世界には嘘吐きが沢山いる」ということだ。

「なぁんて、馬鹿らしいわね」

整った顔立ちの人間は鼻で笑うと、持っていた紅茶に蜂蜜瓶の中身をそのまま入れた。



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