「離して欲しい…」
「断る。そしたらお前は居なくなるだろう?」
会うなりセシルの腰を抱き寄せて首筋に顔をうずくめたカミュに、セシルが小さく唸る。
『離せ』とたどたどしい敬語も消えて首をイヤイヤと振るセシルは本当に嫌がっているのだろう。
だが離すつもりも逃がすつもりもない。と呟いたカミュはガブリとセシルの鎖骨に噛み付いた。
「!」
「お前は俺のだ」
「…違いマス」
「違わない。なんだかんだで俺が気になってるくせに」
「どうして、ワタシを構うのですか」
『他の人は愚民と見下すのに』不思議そうにゆらゆらと揺れる瞳がカミュを捕える。
その表情が幼く可愛く見え、カミュは小さく微笑みを浮かべると
「可愛い王子を放っておくわけないだろう?」
と言い、セシルの唇にキスをした。
(「アナタなんか、キライ…デス」)(「そういうわりに本気で抵抗しないな」)
カミュセシがフライングでキてます。