die or death?



「デートでもするかァ」

「あっこれデートなんですか? 誘拐かと思ってました」

「だってお前そうしねえと暗器持ってくるだろ」

 さも被害者のように言う彼女だが、お前は絶対に加害者側だ。いつ刃物が飛んでくるかわからない状態じゃおちおちデートもできやしない。デートくらいほのぼのとさせていただきたいものだ。好きなものを食べに行くでもよし、遊園地に行くでもよし。幸い今いる島は娯楽を主産業としたところなので、かなり選択肢は広い。水族館から遊園地、果てはオペラハウスまで。まあそんな高尚なもんはあまり得意じゃねえけど。

「食いてえもんとかあるか」

「そうですねー、パスタとか食べたいですね」

 普段なら「ノープランですか? 女性はリードされたいんですよ?」などと言いそうなもんだが、今日ばかりは存外に素直らしい。いつもこれくらい扱いやすかったら良いんだが。何故だかいつも彼女の方が一枚上手なもんだからちょっと面白くない。

「今日の君はスマートですね」

「うるせェ」

 何も言わずに彼女の手を取ったらこれだ。そもそも自分が手を繋がれていないと何をしでかすかわからないじゃじゃ馬って自覚がねえのかよ。いやそういうことじゃない。これはデートだ。それくらいしたって良いだろ、普通に。

「お前こそ上機嫌だな」

「今日の君は隙だらけなので。浮かれててとっても、仕留めやすい」

 彼女の言葉はさておき、至極幸せそうにしながら言う彼女にドキドキしないわけがない。が、ここで動揺しては彼女の言葉通り隙を見せることになる。

「つってもお前武器持ってねェだろ」

「甘いですね、全裸のわたしでもないのにそんな慢心」

「マジで言ってんのかよ……」

 さあどうでしょう、とけらけら笑いながら言う彼女。なんだってデート前に身体検査せにゃならねえんだよ。

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