クソリプ/アオハル時空



「うるティさん、なんか知らない人から返信来たんですけど」
「んー……あっそれクソリプだ。無視していいやつ」
「なるほど」
 先ほどから姉貴と彼女はスマホを覗き込みながら会話している。元々おれと彼女で課題をやる、という話だったのだが彼女がやってきたのを聞きつけて姉貴が突撃してきたのだ。おかげでおれは菓子と飲み物の準備なんかさせられている。姉貴の。
「この写真どうです?」
「あーっかわいい! それ絶対バズる」
「じゃあ載せましょう」
 素直に楽しそうだな、と思う。別にこの中に入りたいとかそういうのじゃない。どうせ可愛いとかバズるとかいう感覚はわからないし。というか世間一般の基準もわからないのにかなり尖った感覚の姉貴と写真のセンスで話せるわけもなく。丸テーブルの上にクッキーを盛った皿とオレンジジュースを置いた。端に追いやられた問題集を眺める。どうせこの狭さじゃ文字も書けない。
「……また同じ人から返信です」
「ちょっと見せてみろ」
 どうやら彼女のアカウントに粘着質なコメントを残す奴がいるらしい。まあ彼女は可愛いし、猫や動物なんかの写真もよく撮っている。SNS上ではそこそこ目立つんだろう。
「ぺーたんこいつ特定して!」
「んなこと言ったって……ああ」
 粘着質と表現したがまあ、かなり目に余るメッセージに溢れている。このまま警察に突き出せばまあそれなりに対応してくれるんじゃないか? 程度には。
「すぐにはできねェよ」
「じゃあお前らでツーショあげたら?」
「そうだな」
 頭上にクエスチョンマークを浮かべる彼女をよそに、彼女のスマホを姉貴から受け取る。最低限のフィルターを通した、まあガラの悪いバカップルなツーショット。上出来だろう。再び姉貴にスマホを回せば、地雷臭しかしない頭ホイップなキャプションと共に投稿してくれるはずだ。
「もう大丈夫だぞ!」
「ありがとうございます……?」
 何が? と言いたげな彼女。今回ばかりは姉貴に感謝するしかない。明日あたりコンビニで集られるんだろうな……。

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