僕の××になる条件



 おれの伴侶になる条件は何か、と彼女は抜かす。
 条件も何も無いのだが、彼女は明確な回答が無いと不満らしい。考えたことがないと言えばどれほど時間がかかっても良いから教えろと言う。そもそもおれを殺して恋を永遠にしたいだのと言っている奴がそんな質問をするなんざよくわからない。彼女の最終目標はおれを殺すことだ。おれの生首でも抱えて幸せそうに微笑みたいのだろう。悪趣味も悪趣味、ファムファタールを地で行くつもりか。
 というか伴侶、なんてシステムが海賊であるおれに適合するとは思えない。伴侶ってのは人生を共に送るに相応しい唯一無二の存在で、通常は夫婦関係のことだ。そんなの、明日の命もわからず首に数億の金額が懸けられている人間には似つかわしくないことなんか明白だ。それでも伴侶というものを無理矢理設定するとすれば、生半可なことじゃ死なない強さだろうか。別におれより強い必要はない。適当に、自分の命を守れる程度であればそれで。海賊行為とかいう極刑間違いなしの犯罪に目を潰せる程度に気が狂っていればなお良いか。
 ああ、後は姉貴に好かれるかどうかか。好かれる、というか姉貴をきちんと扱えればそれで良い。実際余程の奴じゃなければ口を出してくることもないだろうから、この点は置いておいても良い。多分。
 ここまで思考したところで、これは果たして伴侶だろうかという疑念が一つ。伴侶というよりは戦友だし、これじゃ腐れ縁だ。間違っても恋愛の絡む関係ではない。
 ……というか。彼女は割と良い線いってるんじゃないか。弱くはないし、そもそも気が狂っている。姉貴との関係も悪くない。だがこれをそのまま伝えたところで彼女は得意気に笑うだろう。なんかそれは、気に食わない。
 なのでもう、残念ながらそんなもの教えてやるか、と告げた。そう言うならお前の伴侶の条件は何なんだよ。

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