果たし状



「バオファンさん、下剋上ってアリですか?」
「ナシ! ですが基本的に無法者の集まりなので起きたことは仕方がないですね!」
「なるほど」
 今朝、ページワンさん宛に届いた果たし状を見る。指定された場所に彼を呼びつけて、一騎討ちをしたい旨書かれている。まあでも、確実にこれは罠だ。わざわざ書面で呼び付けてまでこんなことをすれば証拠が残る。そもそも彼ほどの強者に一騎討ちを挑むというのも変な話。多分数の暴力で押し切るつもりだろう。指定された場所というのも荒野の荒屋。隠れる場所も多ければ人気も少ない。毒でも罠でも仕掛け放題だ。もちろん彼がそれで殺されるとは思わないが、極力彼には傷ついてほしくない。万全な状態でわたしに殺されてほしいので。

「……という一件があったんですけど」
「優秀な部下で何よりだよったく……」
 ページワンは頭を抱えていた。変わり者の女を惚れた弱みで部下にした、までは良いが彼女はあまりにも優秀すぎる。海賊にあるまじき真面目さに加え何故か幅広い知識。それに加え何度もこちらの寝首を掻こうとする戦闘力。申し分無い、申し分ないのだが。彼女の今の報告はいかがなものか。彼を狙った果たし状(罠であることは明確)が届いたので先回りし計画者を全て仕留めたらしい。ギフターズ三人にプレジャーズ五人を一人で戦闘不能にしてきたというのだから少々やりすぎなところはあるが……どうせそんなことを画策した下っ端だ、ろくな目には合わないだろう。
「怪我は」
「わたしですか? 特には」
 けろりと報告する彼女。上司としては彼女を褒め称えるべきなのだろうが、ページワンという一人の男としては複雑な心境である。彼一人でも怪我一つなく蹴散らせたのだ。彼女が危険な目に遭うのは正直、あまり快いものではない。
「……始末のこともある。行動する前におれに話を通せよ。お前に怪我されたら困る」
 照れ隠しに理由を述べてページワンは言う。マスクをしているので、幸い赤い頬は見えなかったが。
「わかりました、では次からは遠距離から爆破します」
「何にもわかってねェよなァ!?」

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