ショコラプラントI



「ところで皆さん。何故集められたかおわかりですか?」
「バグチョコ事件を解決したからでしょう?」
「感謝状とか貰えるんですか?」
「ああ、小鬼ちゃんたちのチョコレートを正式に商品化するのかな?グリム・グラム、かなりの人気商品でさ」
 数週間前と同様に学園長室へ集められた三人。以前と異なるといえば、三人の表情が自信に満ち溢れて、或いは満足げであることだろう。学園長の質問にも、比較的ポジティブな想像で返している。
「そのお菓子についてです!女体化薬を入れたでしょう!?」
 学園長の問いに、三人はわざとらしく顔を見合わせる。バグチョコ事件の時とは違い、今度こそ三人が首謀者であった。
「レアものがあるとよく売れるんですよ」
 そう答えたのはアズール。バグチョコは不良品で法に抵触していたとはいえ、ミステリアス故売れたという点は参考にしても構わないはずだ。だからグリム・グラム五個入り(ミステリアスボックス、効果がいくつか混ざっているが見た目では判別ができないもの)に一つだけ、性別転換薬を仕込んだものを潜ませて売っていたのだ。
「安全性はデイヴィスのお墨付きさ!」
 サムも続けて言う。今回のグリム・グラムはきちんと検査して安全なことを確認して販売しているが、件の女体化薬もその例に漏れない。
「みんな喜んでくれていますよ」
 レトはにこにことして言う。仲良しグループで一箱買って、せーの!で食べて反応を見るという遊びは確かに流行っている。髪色の変化をはじめわかりやすい効果のものばかり選んでいるが、性別転換薬を引いた時ほど面白いことはない。試作品なんだけど、とレトが一年生の友人に渡した時はデュースが三つ編み文学少女になってしまったので皆で大笑いした。
「は、反省どころか後悔もしていない……!」
 そんな嘆きもどこ吹く風、三人(特にアズールとレト)は上機嫌。性別転換薬といっても効果は薄く、せいぜい五分保つかどうか、と言ったレベルである。これならばいたずらの範疇に収まる、と話し合った結果だったのだが。
「とにもかくにも!風紀を乱しかねないものは駄目です!良いですね?」
 銘々に頷いた三人に、学園長は全く困ったものです、と呟いた。
 
 なおこの数日後、新作として出したグリム・グラムに変身効果(食べてすぐ見た相手と同じ姿になる)があったので再度三人は呼び出されることになるのだった。




ゾクゾク・ヴァネロペ・デー ショコラプラント 終

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