OKグーグル、死体の埋め方



 やってしまった。
 地面に転がる男、頭からは出血が止まらず血溜まりができている。暗い夜道にぬらりと黒々して、大変に悍ましい。そりゃそうだ、今ここで人が死んでいる。というかわたしが殺した。一応海賊という無法者にカテゴライズされる人種なので誰かの生き死になんて日常茶飯事なのだが、それにしてもと頭を抱える。殺すつもりはなかった、本当に。
 正当防衛だった。何が目的だったかは知らないけれどいきなり背後から襲ってきたので、ナイフを奪って蹴り倒した。そしたら男の飛んでいった先に運悪く尖った岩があったのだ。
「帰りが遅いと思えば」
「ページワンさん」
 背後からの緩く低い声に振り向く。一応は上司に当たる彼に報告したほうが良いのだろうか。まあ思いっきり現行犯だけど。
「あァ、海にでも捨てとけ」
 存外慣れた口調で彼は言う。四皇を頭に据える海賊団の幹部、なるほどかなりの人数を屠ってきたのだろう。わたしも経験が無いわけではないが、ここまで平常を保てるほどではない。
「何も言わないんですね」
「よくあることだ。それに『正当防衛』だろ」
「まあそうですけど」
「何だ、そんなんでおれを殺そうとしてたのか」
「まさか。今回は完全に殺意がなかったので驚いたというか」
 通り魔的犯行をする奴は死んだ方が良いと思う。思うのだけれど、自分の手で殺すほどではない。それに、殺人はもっとメロウであるべきだ。こんな突発的で計画性のないものは子供の癇癪と何ら変わらない。
「気にすることねェよ、お前がやらなくてもおれがやってた」
「わあ恐ろしい」
 こちらの肩を叩きながら彼は言う。ぐるる、と肉食の獣独特の喉の唸りが聞こえるあたり、少々気に障ったらしい。
「面倒だな」
 彼の手を煩わせるまでもない、と言いかけたところで彼はそう一言。獣化した脚でもって死体を蹴り飛ばした。ばしゃんと遠くで飛沫の音がする。
「ムカついただけだ」
「……ありがとうございます」

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