気付いたら負けのゲーム

「おおっとロビンくんもしかして雨宿りですか?」
 放課後、空き教室。元より人気の少ない別棟にあるこの場所に、能天気な明るい声はあまりに響く。
「…そうですけど」
 にまにまと笑みを隠さず少女はオレの座る席の前へやってきた。藤丸リツカ。小中高と同じ学校などころかクラスまでずっと同じとかいう最早腐れ縁である。
「どう?今帰るならわたしと相合傘できちゃうけど」
 女子にしては大きく武骨な紺色の傘を掲げて彼女は言った。なるほど、アレなら二人で入っても大丈夫だろう。
「……狙いは何なんです?オタクが無条件でそんなこと言わねえと思うんですが」
「べ、別に駅前のカフェでケーキが食べたいだなんて思ってないよ!さ、帰ろ帰ろ!!」
 ぐい、と手を引かれ昇降口の方へ。人の意見も反応も気にしないリツカには溜息が出る。さて、財布の中身は大丈夫だっただろうか。

(オレが雨宿りなんかしないでしょうに…まあ予想通り来てくれるとは上々…)
(ハチャメチャテンションで照れは隠したしバレてないよね、相合傘でそのままデート…って思ってるのはわたしだけ、わたしだけ…)



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