もっともっと、君を知りたい

 例えば、好きな食べ物。好きな季節。趣味。お気に入りの場所。目玉焼きには何をかけるか。彼に関して、そんなどうでもいいことが知りたくて知りたくてたまらない。何故か、と問われれば返答に困ってしまうけれど、きっと単純な好奇心では無いのだと思う。恋、なのかもしれないけれど、残念ながらそんな甘酸っぱいものを経験したことがないので確定はできない。でもこんなのが恋だなんて言うのなら学者なんてのは究極の恋愛脳ということになってしまうんじゃないだろうか。うん、話題が逸れた。
 彼には原典となる歴史や物語が存在せず生前を把握することもできない。武器いじりと料理が好きらしいとか、なんだかんだでこちらを気にかけてくれているとか、これくらいしか彼についてわからないのだ。だからどうしても、今の彼を詳しく知りたい。サーヴァントなんて一時の協力相手で幽霊みたいなものなのだから、と言われようとも。
「エミヤ」
「何かね、おかわりならまだあるが」
「うん。今日も美味しいごはんありがとうね。」
 えへへ、と笑ってしまうくらい言葉に出すと照れくさい。ふふん、といつもどおりのニヒルな笑みが返ってくるかと思えば、彼は少々鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした後、少年のように微笑んでいた。また新しい一面を見てしまった。ぞわぞわするくらい楽しくて、これだから『彼を知りたい』はやめられない!



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