クナイが腕に突き刺さる。嗚呼、既に痛みさえも感じなくなってきた。末期はひどくゆるやかだ。

「私はもう逃げることも出来やしない」

だから、裏切り者の私をとっとと殺してよ。

「お前は、仲間じゃねーのかよ?!」

シカマルが近づいてくる。

「仲間だったね」
「お前は俺のことを…!」
「好きだったよ」

全部、過去形の話しなんだけどね。ドク、ドクと血が流れ出る。つい油断なんかしちゃったからなあ。まさか恋人に殺されるなんて、私。シカマルのこと、本気で好きだったのに。

「シカマル」

彼の名を呼んだと同時に大量吐血。普段は無意識に行う呼吸も、今はこんなにも苦しいし、口の中に溜まった唾液が変に暖まって気持ち悪い。飲み込んでもいいが、どちらかと言うと吐き出したい衝動に駆られる。

「お前を殺すなんて、俺に出来るわけねーよ、」

あれれ、どうして泣いてるのシカマル?

ドク、ドクと血は止まることを知らない。重たい瞼を開けて、シカマルの姿を脳裏に焼き付ける。

呆気ない私の最後にお願い。

「シカマル、最後にキスして」



欺瞞戦争


「もう血の味しかしねぇや」



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