シカマルはそれが終わると散らかっていた服を手に取り、「帰る?」と私に一言聞いてきた。その一言で、止まっていた思考回路たちがやんわりとまた、活動し始める。

私はいつから変わってしまったのだろうか。

数ヶ月前はシカマルが好きで堪らなくて、勿論シカマルの事を好きなこなんて私以外に沢山いて、彼女と云う立場を手に入れてシカマルを独占したかったのだ。数ヶ月前の私は。

それなのに現在の私は「彼女」とは程遠い立場。でも、シカマルと私は共有の秘密を持っている。優越感に浸ってしまう。

最後には必ず、孤独感が襲ってくる事を私は知っているのに。それなのにシカマルからメールが来ると性懲りもなく、私は繰り返してしまうのだ。同じ事を。

私の服を集めてシカマルは、耳元で優しく「着て」と呟いた。

そうか、早く帰らないと。シカマルに促されて私はお気に入りのワンピースを身に纏う。

嗚呼、まるで

「子供みたい」

私の言葉が聞こえなかったらしくシカマルは「なに?」って聞き返す。

「何でも無い」

そう言って、帰る支度。

「何でも無い、ってお前泣いてんじゃん」

「え?」と思って頬に手を添えてみると、涙。涙って無意識に流れるもんなんだ。ニコりと微笑んで「何でも無いから、送らなくていいよ」と言ってシカマルの部屋から一人で出る。

閉まったドアからは「またな」と声が聞こえた。その声を聞いて、また私は呟いた、子供みたいだと。

玩具を貰って、それを眺め、抱きしめ、やがて壊してしまい、あすはもうそれを呉れた人の事など考えもしない子供のように、シカマルは私のあげた心を、手頃な玩具でも弄ぶように小さい手の中で弄び、私の心が悩み痙攣し疼く悲しみに眼もくれようとはしない。





虚しさが付き纏って離れてくれないのは、何故?

(セフレな彼女の気持ち。こんなシカマル嫌だシリーズ)


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