今日はテストだっていうのに寝坊、ただでさえ欠席が多すぎて進級も危ういのに。 早足に駅のホームを歩きながらメールチェック。横を男が走りすぎて行く。その男の肩がぶつかって、よろめく。拍子に私の携帯と鞄が勢い良く吹っ飛んだ。その禿げ男はチラリと私を見るとまた人混みに紛れ走り出す。 膝をついて散らばった物を拾う。なんかもう、めんどくさ。誰も私に関心を示そうともしないし、助けてもくれない。無表情な通行人達。このまま学校休んじゃおうかなあ。 「おい」 しゃがみ込んだままの私の腕を誰かに引っ張られ、起き上がらされる。 「なんですか?」 「この携帯、お前のだろ?」 そう言ってキラキラとピンク色にデコレーションした私の携帯を持つ、金髪丁髷男。 「あ!それ私の携帯!」 「足元に吹っ飛んできた」 「ああ、すみません」 一言謝って金髪丁髷男の顔をよく見てみるとかなりヤバい。タイプど真ん中みたいな? 「次からは携帯吹っ飛ばしたりすんなよ」 じゃあな、と言って金髪丁髷男は遠ざかって行く。 「ちょっ、待って」 とっさに腕を掴む。 「まだ、なんか落としてんの?」 驚いた顔をしてすぐに笑顔になった金髪丁髷男。笑顔が眩しすぎて私はダメージ100ぐらいくらった。 「すみません。恋におちました」 「は?」 さっきよりもっと驚いた顔をして私を見詰める金髪丁髷男。てか私急になに言ってんの?顔まじ赤くなってきたし、前言撤回逃げ出したい。 ほんの数秒の後、金髪丁髷男はふいに笑い出した。 「告白?俺に?」 「初めて一目惚れしたの」 ふーん。そう言って金髪丁髷男は何か考え込んで言った。 「なら付き合ってみる?」 偶然のようで必然 「え、いいの?」 「実は前からお前のこと見てたし(知らなかったの?)」 気に入って頂けたら ぜひ clap |