「シカマル!」

目を覚ますと名前に名を呼ばれ思い切り抱きしめられた。名前の目からは涙が溢れんばかりに盛り上がっている。

「よかった。ほんとに、よかった」

首筋に押し付けられた柔らかな頬は濡れ、首に回された腕は震えている。名前の身体を抱きしめたい衝動に駆られるが思うようにまだ手が動かない。

「このまま、目を覚まさなかったら…」

そう言って、また涙を流す名前。

「怖かった」

名前は、また涙声で言う。

「シカマルも、キバみたいに…目を覚まさなかったら、どうしようかって…怖くて」
「・・・キバ?まさか、キバにも何かあったのか?」

声を発したと同時に、ドスンと腹に鈍痛が走る。

「キバは…、シカマルと一緒に攻撃を、うけて…」

嗚咽を漏らし名前は俺の腕の中で崩れ落ちた。

キバと名前が、手を繋いで歩く姿を思い出す。その姿は何の違和感も無い、仲の良い恋人同士だった。その姿を目にすると、チクりと心が痛み、切なくもあって羨ましくもあった。

「キバが、………そんな」

無意識に、身体が震えた。

「シカマル、シカマル、シカマルだけは、何処にも…いったりしないで」

爪が背中に食い込むほど強く、名前を抱き締めていた。


愛しさと

混ざり合う悲しみに気付かぬふりをした。

(亡くなったキバの彼女の事を好きなシカマル。こんなシカマルは嫌だシリーズ)


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