約6分間のできごと 私の子供の頃からの夢は「素敵なお嫁さん」、他にこれといってなりたいものなんて無かったしって格好つけて言ってるけどさ。 「お前に素敵な旦那様はいるのかよ?」 冷ややかな目をして俺はそいつに問いかけた。 「酷いっ!鬼!ここに鬼がいます!」 子供みたいに叫んで足掻きまくって、スーパーで偶に見る子供かよ、お前は。 「どーして毎回、毎回、振られちゃうのかなあ?」 「知るかよ!本人に聞け」 「残念ながらもうとっくに聞いてますー!」 へへんって鼻鳴らしてお前さ、なに威張ってんの? 「餓鬼」 「また馬鹿にしたー!酷すぎる!」 グズッ、グズッ。 「ちょっ、泣くなよ!悪かったから、な?」 「…しょうがないから許してあげる!フン」 ぶん殴るぞ。てか嘘泣きかよ、こいつ。 「お前みたいな糞馬鹿は誰も貰ってくんねーよ」 ふるふると肩を震わせて、やべ、本気で泣くかも。 「…シカマルなんて、もう知らない」 大きな黒々とした瞳に涙が溜まる。今にも零れ落ちそうなそれを、唇を噛み締め必死に堪えている。 けれど、それが零れ落ちるのは時間の問題で。一度流れ出たそれは止まることを知らない。 「おい」 「………」 「泣くなよ、」 俺が幸せにしてやるからさ。 気に入って頂けたら ぜひ clap |