無我夢中って、まさにこの事。

靴なんて履いてる暇なんて無い。ずんずん走ってもっと遠くへ。スギズキ足の裏が痛いのなんて気にしない。そんでもって雨が降り始めたのも気にしてやんない。

橋まで来たところで雨のせいかズテーンって頭から転けた、やっぱり私って間抜け。

「ぷぷっ」

誰かが笑う、もしくは吹き出した声が聞こえて後ろを振り替えると傘をさして買い物袋を持った奈良君(クラスメート)がいた。

「花ってやっぱり可笑しいな」

そう奈良君は言って、もっと笑い始めた。

「笑わないで」

人に笑われるなんて何度も有った。だけど未だに慣れない、だって凄く惨めな気持ちになるんだもの。

「わりぃーな。だってよ、雨降ってんのに傘もささず裸足で全力疾走で滑って転ぶ奴、初めて見たもんで」

って、やっぱり笑ってる。

でも、なんか良いや。だって奈良君が私を馬鹿にして笑ってるんじゃないって、奈良君の笑顔見て思ったから。

誰かを笑わかすなんて久しぶり。くすくすくすくす、何だかくすぐったい。

気づいたら私も笑ってて、久しぶりに笑ったな、なんて。

「お前、そのままじゃ風邪ひくから家こいよ」

初めから行く宛なんて無かったし、お邪魔しちゃおうかな?

「ありがと。じゃあお言葉に甘えて」
「おう」

そう言って奈良君は傘を私にくれた。


雨のち、晴れ

雨と涙が頬を伝った。


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