「なあ、真面目な話してい?」

アイスを食べ終え花は、キバ君が真剣な話なんてするんだねと、決して嫌味な訳ではなく数秒の間沈黙した後、コクりと頷いた。

「ぶっちゃけた話、ネジと付き合ってんの?」
「え?」
「だから、シカマルと別れた後の話」

暫し花は黙り込み、彼女の形の良い薄紅色の唇がどうしてと動いた。

「どうして、シカマルと別れたこと知ってるの?」
「俺がシカマルに最近花と上手くいってんのかって聞いたら、別れたって一言だけで、さ」
「でも、どうしてネジ君の事まで、」
「蕾がネジと別れたって話は広まってるし、何か関係あんのかなって鎌掛けてみた」

花が額の汗を拭う。

「お願いだから、シカマルには、言わないで」
「ネジと付き合ってることか?」
「お願い!」
「何で?」
「何でって、」
「あのネジと付き合っていく以上、それを隠し通していく方が難しいと思うぜ」
「そうじゃなくて、シカマルだけには知られたくないの」

きっと花はまだシカマルが好きなんだ。否、好きなんだ、絶対に。それはシカマルも一緒な筈だ。

「シカマルは、知ってると思う」
「うそ、よ」

花の目は見開かれ、その瞳は涙が溢れてしまいそうな程潤んでいる。

「何も知らない、気づかねぇ奴じゃねーだろ、シカマルは」

そんなの嫌だ、と花は膝を抱えて奮え、泣いた。

「花…、もしシカマルが蕾と付き合い始めたらどうする?」
「嫌っ、考えたくない!」
「手を繋いだり、キスしたり、セックスしたり、」
「それ以上、言わないで!」

膝を抱えたまま強く手に力をいれたのか、花の手と膝からは血が滲み出ていた。花、お前はまた一人になるのが怖いのか?孤独を恐れ、逃げ、本当に大切で必要な人まで分からなくなっちまったのか。


こんなにも、こんなにも

彼女を抱きしめたいと思うのに、彼女を救い出せれるのは俺じゃない。


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