それでも私は休み時間の度に、一也の教室にせっせと足を運んだ。 一也は私のだ。簡単に誰にも渡したりなんてしないし、あんな奴と付き合ってるなんて私は絶対に認めない。私はずっと、ずっと、ずーっと一也の事が好きだったのに。どうして簡単にあの女が一也と付き合えるの? : 昼休み。 お弁当を持って一也の教室に向かって走る。今日は一也の分のサンドイッチを作ってきた。きっと喜んでくれていつもみたいに頭を撫でてくれるんだ。けれど一也の姿が見当たらない。教室を何度もぐるりと見回したけれど、やっぱり一也は見つからない。 「名前ちゃん。御幸なら倉持と監督に呼ばれてて今いないんだけど、もう少しで帰ってくると思うよ。よかったら一緒にお弁当食べる?」 ニコリと笑って私に近寄ってくるこいつが私は世界一嫌いだ。ピーマンなんかよりニンジンなんかより、痛い痛い注射なんかより、こいつの方が何百倍も嫌いだ。 「話しかけんじゃねーよ、ブス。お前なんかが一也の彼女なんて認めないから」 「え?」 「とっとと別れろよ!」 そう叫んで手に持っていたお弁当箱を投げつける。 「いたっ」 痛いのは私の方だ。そんな顔で見てくるんじゃねーよ。泣きたいのは私の方なんだから。 そう願いたくもないのに、強くそれを願ってしまう滑稽な私。 気に入って頂けたら ぜひ clap |