反射的に一也の身体を押し返していた自分がいた。 一也とのキスが嫌だった訳ではなくて、ただ突然のそれに驚いてしまっただけなのだ。 現か幻か判断が出来ないままの私に、ごめんとただ一言を残して一也は家を出て行ってしまった。 「どうして急に?」 「さっきのキスの意味は?」 「梓ちゃんは?」 聞きたい事は山程思い浮かんだのに一也に何も聞けなかった。私は一也にとって妹みたいな存在で家族同然じゃなかったの?私は期待しちゃっても良いの?一也が何を考えているのか全くわからない。 不意打ちのキスについて たとえば神様がだれかを助けるために身体の機能を求めるなら、目も耳も差し出せる。はいどうぞ、って。だけど一也に触れたこの唇は、この唇だけは誰にもあげられない。 気に入って頂けたら ぜひ clap |