「倉持君お願い!さっきの授業のノート写させて!今日ノート提出の日だってすっかり忘れて居眠りしちゃってた」
「仕方ねーなあ」
「神様仏様倉持様!ありがとうございます!」
「御礼に後でカフェオレな」
「うん!倉持君って見た目に似合わず授業態度真面目だよね」
「・・・あと購買でカレーパン追加な」
「ごめんごめん!冗談だってば」

苗字は椅子を俺の机に向け、ノートを並べせっせと手を動かしそれを書き写す作業に取り組む。

必死にシャーペンを動かす苗字をじっと見るが確かに学校中の噂になる程整った顔立ちはしている。

くりくりとした大きな瞳にぱっちりとした二重。そこからはえる長い睫毛に透き通るぐらいに真っ白な肌。主張しすぎないスラリとした鼻に顔のパーツ全て配置場所を計算してつくられたお人形みたいだ。それに加えてサラリとした茶髪のロングヘアー。改めてまじまじと観察するとみんなが口を揃えて可愛いと言うのも素直に納得できる。

「おい、苗字」
「んー?」
「なんでお前のノート濡れてんだよ」
「あ、これねさっき寝てた時に涎垂れちゃっててノートに水溜まりできてたの」

あははと笑って頭をかく苗字のことを可愛いだとか言ってる奴等はこいつの外見だけに惑わされちまってる。

こいつの羞恥心の欠片も無い性格にずぼらで天然で馬鹿でどうしようもない中身を知ったら絶対にみんながいっせいに身を引くだろう。確実に。

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