次の日。余裕をもって朝練を終えた俺は御幸と教室へ向かう。御幸は隣りのクラスなわけで仕方なく一緒に教室へと向かっているのであって友達がいないもの同士肩を並べて歩いているわけではない。そこだけは勘違いしないでほしい。

教室に近づくにつれ他のクラスの奴や先輩達までうちのクラスの教室のドアや廊下側の窓から中を覗き込んでいて、ガヤガヤと賑わっていて煩い。

いったい何事だと人集りの中に割り込み、御幸が教室を覗き込んでいた男に声をかけた。

「すいませーん。なんでこんなにB組の教室覗き込んでるの?」
「名前ちゃんてこが新入生の中で飛び抜けて可愛いってみんな見に来てるみたい」
「ふーん。名前ちゃんて倉持しってる?」
「・・・名前ちゃんって、苗字?!」
「仲良いの?」
「いや、席が隣りなだけで仲良いってわけじゃねーけど」

なに考えてんのかさっぱりわかんねー不思議ちゃんがなんでこんなに人気なのか、それこそ全く意味がわからない。

昨日の夜なんて苗字の発言に悶々と悩まされて寝不足で朝練キツかったし、もう俺は苗字の発言に悩まされないし惑わされない。なるべく苗字とは関わらないでいる方が身のためだ。明日からは必要最低限の会話しかしないと決意を固め眠りについた。

「あ、倉持君おはよー」

教室のドア付近に御幸といた俺を見つけた苗字は友達と談笑していた輪から離れ、ちょいと手を挙げてへらへらと緩みきった顔してこちらに近づいてきた。

「人混みの中でもすぐに倉持君みつけれちゃった」

俺は絶対にこいつにときめいたりしないし、さっそくこいつの発言に惑わされて昨晩の固く誓った決意を簡単に破ったりしない。絶対に。

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