「御幸君ってモテるんだね」 「・・・なんだよ。急にどしたんだよ」 「さっき女の子達が御幸君のことかっこいいよねって話してたから」 「苗字も御幸のことかっこいいとか思ってんの?」 「んー。かっこいい分類のお顔だとは思うよ」 「・・・」 「ん、無視?えっ、ちょっと倉持君なに不機嫌そうなしかめ面になってるの?」 「なってねーよ!」 「ほら、機嫌悪くなってるじゃん!」 ただでさえ強面なんだからそんな眉間に皺寄せちゃ駄目だよと苗字は人差し指で俺の眉間を押す。 「ぐりぐり押すんじゃねーよ!あとな、御幸御幸うるせーんだよ。あの性格悪りィ眼鏡の何処がそんなにいいんだよ」 「何でそんなに機嫌悪いわけ?だって、みんな御幸君が学年で断トツかっこいいって言ってたんだもん」 そーかよそーかよ!クソ、御幸なんか女子の前でかっこ悪く顔面から転けちまえばいいのによ。あ、でも転けてどっか怪我でもして野球出来なくなっちまったらいけねーからやっぱり転けるってのは無しだ。 「けどね、私は倉持君の方が断然かっこいいと思うよってちゃんとみんなに自信を持って言っておいたからね!」 だからそんなに機嫌悪くしないで、とヘラリと笑った苗字の顔を見て胸がぎゅうっと握り潰されてしまいそうな感覚と、なぜだか泣きそうになって、歯を食いしばりそれを必死に堪えた。 |