放課後。

部活が休みなら買い物に付き合ってよと苗字に半ば無理矢理誘われ、学校近くにある大型ショッピングセンターへとやって来たわけなのだが、苗字はこれといって欲しい物は無いようでフラリと店内に入っては出てを繰り返している。

「苗字!いつまで買い物する気だよ。俺は腹が減ったんだ」

いかにも女が好きそうな雑貨を集めた店にいるのが恥ずかしくなり苗字に早く店内から出ようと催促する。

「えー!もうちょっと待ってよー」

苗字は女に人気だというキャラクターのキーホルダーを真剣に物色している。

「そんな気持ち悪い顔したキーホルダー要らねえだろ」
「気持ち悪いとは失礼な!ブサ可愛いの!最近流行ってるゆるキャラなの!」
「・・・ブサ可愛いの意味がわかんねー。ただ不細工な顔しただけのキャラクターじゃねぇかよ」
「倉持君ってばこのキャラクターの良さが分からないの?!・・・信じられない」
「俺はお前の可愛いの基準が信じらんねーよ」

俺が態とらしく溜め息を一つ吐くと、苗字は手にしていたキーホルダーを置き、その横に雑に並べられていた沢山の色や形の眼鏡を手に取った。

「倉持君これ掛けてみて!」

はい!と苗字は星型のサングラスを渡してきた。

「じゃあ苗字はこれ掛けろよ」

交換条件な、と鼻とヒゲ付きの眼鏡を苗字に渡す。

「えー!こんなの絶対嫌だ!倉持君に選んだサングラスより酷いじゃんか、これ」

ぶつぶつと文句を呟きながら苗字は眼鏡を掛け、俺も眼鏡をかける。

「ぷっ!倉持君それ罰ゲームじゃん!」
「ヒャハハ!苗字の顔こそ冗談抜きでやべーよ」

互いの顔を見て笑い合い、涙が目尻に溢れる。

「ねえねえ、この顔で記念に写真撮ろうよ!」

そう言って苗字は自分の携帯のカメラ機能を起動しポーズをとる。

「倉持君もうちょっと近くに寄って!内カメラに入ってないよ」

早く早くと苗字は携帯を片手に俺の手をもう片方の手で引っぱり笑う。

「倉持君に後でこの写メ送るね!」
「・・・おう」

苗字の顔が近過ぎて心臓がドクドクと煩く、もしかして苗字に聴こえているんじゃないかと顔を真っ赤にした俺と、変な眼鏡を付けたまま笑い過ぎて目の無くなっちまってる苗字が写った写真がその夜、送られてきた。

二人の顔はともかく苗字との初めてのツーショットだからと速やかに保存したことは勿論、誰にも秘密だったりする。

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