太陽はギラギラと輝き、熱はアスファルトを反射し、額に汗が自然と滲む昼下がり。名前のつくってきた弁当を綺麗に平らげた俺は名前の膝を枕にして空を仰ぎ、暑いとか眠いとか中身の無い言葉を呟いて寝転がっていた。

「…名前の太もも、寝心地が良いよね」

ごろりと横に寝返りを打ち名前のお腹に腕を回し、すんと鼻を鳴らし甘い名前の匂いをいっぱいに吸い込む。

「またブタとかムチムチしてるって言いたいの?」
「そういう訳じゃないけど」

やっぱりダイエットしなきゃ駄目かなあ、と俺よりも体温の低いひんやりとした白く、細い指が俺の額に汗で張り付いた前髪を梳かす。

「はあ?べつに今のままでいいんじゃないの?」

毎日俺は口癖の様に名前に向かってブタオンナだのデブだなど暴言を吐いているが実際のところ名前は平均女性といってもそれがどの程度のサイズ感なのかはわからないけれどもクラスの女子で一位、二位を争う程に細く骨格も華奢で、いま腕を回しているウエストだって先程一緒にお弁当を食べたにも関わらずちゃんと食べているのかと疑ってしまう程にぺらっぺらに薄い。

「…だってね、鳴がいつも私のことブタとかブーとか呼ぶからクラスの男の子にブーちゃんって呼ばれちゃったんだよ」

長い睫毛を伏せて、悲しそうな顔をした名前は明日からお昼はサラダだけにしようかな、と溜め息混じりに呟いた。

「そいつ名前と同じクラスの何部の奴なの?」
「…えっと、確かサッカー部だったっけ?」

どうだったっけ、とうーんと呻き頭を抱える名前を下から見上げる。

だいたいさ、本気でブーちゃんとか思ってたらそんな女にその男もちょっかい掛けてこないだろう。絶対に名前の気を惹きたくてそんなふざけたこと言ってるに決まってる。

「鳴様の彼女に向かってブーちゃん呼ばわりとか、そいついい度胸してんね」
「けど、鳴も私のことブーちゃんとかブタオンナとかデブとか言うでしょう?」
「俺はいいの!」

自分の事は棚に上げて、と冷ややかな名前の視線を振り切り、がばりと勢いよく起き上がる。

「うるさいよ!いいから俺はそいつと話してくる!」

名前の事を悪く言って良いのは俺だけなんだからな、と自分でも訳の分からない捨て台詞を吐いて屋上のドアを勢いよく開けて飛び出した。


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