「おい、そこのブタオンナ!屋上で弁当一緒に食べるんだから早く来いっていつも言ってんだろ」 ほんとデブでノロマなんだから、と昼休みを知らせるチャイムと共にとても彼女に対してへの発言とは思えない暴言を吐きながらガラリと教室のドアを開け、早くしろよ、と鳴は私に向かって手招きをする。 「今日も愛しの彼氏様からお昼のお誘いだなんて羨ましいわ〜」 しかもその彼氏様は都のプリンスだしね、と小突いてくる友人にはそのプリンスから発せられた言葉の暴力が聞こえていなかったのかと苦笑う。 「早くしろよ!ほんとに置いてくぞ」 「わかったってば!ちょっと待ってよ」 机の横に引っ掛けていたバッグから鳴と私のお弁当を二つ抱え、屋上へと先を歩く鳴の背中を追いかける。 「今日は鳴が昨日食べたいって言ってたチーズハンバーグつくってきたよ」 「やった!唐揚げもつくってくれたー?」 「つくってきたよ」 「名前は料理だけは上手だよね」 滅多に私のことを褒めてくれない鳴が、私のつくる料理についてだけは素直に褒めてくれる。それが嬉しくて 私はせっせとお弁当やお菓子をつくっては鳴に感想を求めてを何度も繰り返していくうちにそれが毎日の日課になり、最近では先程の様に鳴からそれを催促される様になり、自然と口角が上がりにやにやと笑ってしまっていたみたいで、 「なに一人でニヤついてんのさ、気持ち悪い」 と怪訝な顔で睨まれてしまった。 流石に気持ち悪いは傷つくなあ、と一つ大きく溜め息を吐くと、先を歩いていた鳴がぴたりと止まりこちらをゆっくり振り返る。 「鳴、どうしたの?」 「…まあ、その、…これから先も、俺の食事担当よろしくお願いしますね」 名前ちゃん、と顔をずいっと近付けて私の耳元でそう言った鳴は顔を真っ赤にさせてくるりと前を向き、屋上まで早足で進み始めた。 気に入って頂けたら ぜひ clap |