部屋中に機械音が鳴り響き、急いで携帯を開いて通話ボタンを押す。


「いま練習おわって風呂入ってきた」
「そーなんだ。練習お疲れ様ー。私もさっきお風呂出たとこ」


ここ最近、倉持は練習後に必ず電話をくれる。

友人からは倉持と付き合ってんでしょ?いいなー羨ましいなーなどと言われるが断じて付き合ってなどはいないし、倉持と昨日寝る前に電話でくだらない話しをして笑った話しを伝えると、絶対両想いじゃん何で付き合わないのさこっちがもどかしいじゃんと何故か怒られた。


私はずっと倉持が好きだし毎日の電話も嬉しいけれど、倉持に野球以外の負担をかけたくないし自分の気持ちを伝える勇気も無い私は今の関係から踏み込めないでいる。


「お前は学校終って何してたんだよ」
「友達の家でDVD観てたよー」
「ふーん」
「自分から質問しといてなんなのさ、そのどうでも良さそうな返事」
「ヒャハハハハ!すまねーすまねー。DVDなにみてたんだよ?」
「実写版シンデレラ」


ヒャハハハハと耳が痛くなるような馬鹿笑いに携帯を耳から離す。


「名前、お前さシンデレラ観るようなキャラじゃねえだろ」
「五月蝿いなー!あーあ、私の王子様いつ迎えにくるんだろ」
「ヒャハハハハ!寝言は寝て言え。そんなん言ってっからお前はダメなんだよ」


とっとと寝ろと最後に言われ、プープープーと機械音が鳴り電源ボタンを押して携帯を閉じた。もう日付けも変わる時間だし髪を乾かして早く寝ようかと携帯を机に置きドライヤーを探しに部屋を出た。


髪を乾かし終わり二階の部屋へと階段を上がっていると着信音が鳴っているのに気付き、早足で階段を駆け上がる。


「お前、電話でんの遅えーよ」
「あんたがとっとと寝ろって言ったからでしょ。寝る準備してたの。何かまだ話すことあった?」
「お前がさっき王子様早く迎えにこないかなーって言うからお前の家の前まで来たんだけど」
「え?」
「だからさ、王子様が迎えにきたから早く外まで出てきて温めて。外まじさみぃから」



ずるいから好きです。



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