名前の作ってきたお弁当を屋上で頬張っている俺に、名前はちょっと見てよ、と制服のブラウスの袖をめくり上げ自分の二の腕を晒した。

「なに?いつも隅々まで見させてもらってるけど」
「そうじゃなくて!・・・あのね、二の腕とか、太い?」
「別に普通じゃない?」

俺の返答に名前は唇を尖らせブツブツと文句を呟く。

「やっぱりヤバいよね。あと三キロは落とさなきゃ」
「はあ?それ以上、痩せなくてもいいじゃん」

一度褒めると調子に乗って煩いから、先程は別に普通だと言ったものの名前は平均女性よりも細く華奢な部類だと思う。

名前を押し倒したときに手は折れそうな程細く、肩も骨の手ごたえしかなく驚いた記憶は最近だ。

「なんで急に痩せたいとか言うわけ?」
「来週の日曜日に友達と海に行く約束したの」

みんなでビキニ着るって約束したのと照れた顔して笑う名前に俺は無意識に怒鳴っていた。

「ふざけるな!絶対に水着とかダメだからね!俺以外の奴の前で名前の体をみせれるわけないだろ」

突然の俺の怒鳴り声に驚いたのか、名前は目を大きく開けてその瞳は涙が溜まり、瞬きをしようものならそれが溢れ出そうになっていた。

「ごめんなさい」

そう小さく呟いた名前の瞳からはとうとうそれが溢れ、一度溢れ出たそれはとまることなくハラハラと流れだした。

「こんな体型の彼女じゃあ鳴が恥ずかしくなるだけだよね」

肩を震わせる名前を抱き寄せ、ぎゅっと強く握りしめる。抱き寄せた肩はやっぱり骨々しくて強く握りしめてた力を弱め、俺の胸に収まる小さな頭を撫でる。

「・・・そうじゃなくて。俺以外の男がいる前で名前の水着姿みられたくなくて。怒鳴ったりしてごめん」

名前の頬を流れる涙を拭い取り、再度ごめんと謝る。

「水着の上にパーカー着るから、行っちゃ駄目?ずっと前から友達と約束してたの。絶対にパーカー脱いだりしないから!」

抱きしめた状態からの涙目プラス上目づかいでお願いされちゃあ断れるわけもなく、態とらしく大きく溜め息をついて、絶対にパーカー脱ぐなよと言いつけた。


そんな顔は卑怯だ!



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