本当にこいつは馬鹿だ。

いつも望みの無い男にばかり恋をする。今回は哲さんに一目惚れしたらしく、この馬鹿と俺は一年生から同じクラスで何故かこいつに懐かれて。そして俺は馬鹿なこいつと唯一阿呆みたいに笑いあえる。多分こいつが何も深く考え込まない馬鹿だからだ、きっと。

「結城先輩と話したーーーいっ!」

さっきからこの調子で。いつもの事ながらこいつは五月蝿い。

「残念ながら哲さんには長いこと付き合ってる彼女がいるみたいだからな」

簡単に言うと無理だろ、そう付け足してポンっと頭に手を乗せてやると、またこの馬鹿は「だって好きなんだもん」と子供の様に手足をバタバタとさせ怒り狂い出した。やはり馬鹿だ、こいつは。

「さっさと諦めろ。女がいるんだから可能性は0だ」

「でも諦めなきゃ可能性は0じゃないもん!」

「ゼ・ロ・ッ!」

「そんなことない!ダメかダメじゃないかは2択!2択ってことは半分と半分!半分と半分は50と50!50パーセントも可能性があるじゃない!」

「ハッハッハッ。お前、どんだけのポジティブシンキングなんだ…」

「御幸のばかぁぁぁーーー!」

捨て台詞を吐き勢い良く走り去って行った馬鹿の後ろ姿を見送ったあと、溜め息ひとつ。どうせ明日にでもなれば新しい好きな人を見つけては俺の所にやって来るんだ。

馬鹿で惚れっぽくて迷惑で五月蝿くて、だけど出逢ったときからほっとく事なんて出来やしなくて。なんでかって?


僕を悩ませる彼女との日常茶飯事


俺が馬鹿に片思いし続けてる馬鹿だからだ。


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