「ただいま」

玄関から洋一の声が聞こえ、背後に人の立つ気配がした。人参の皮剥きをしていた手を止め、振り返る。

「おかえりー。玄関まで行けなくてごめんね。今、手が離せなくて」
「ん」

仕事から帰ってきた洋一はほらよ、とぶっきらぼうに袋一杯に膨らんだコンビニの袋を差し出した。

「え?これ、どうしたの?」
「ジャンプ読みにコンビニ寄ったらさ、名前の好きそうなデザートがあったから買って帰ってきた」

名前が喜んでる顔想像しちゃってジャンプ読まずに急いで帰ってきちまったじゃねーかよ、と態と無愛想な態度をとる洋一に向かって濡れた手を拭きもせず、勢い良く飛びついた。

「うわっ、あぶねーだろ」

服が濡れちまうからはなせと言う洋一を無視し、抱き付いた腕の力をより一層強くし腰に腕をまわす。

「今日のカレーはとびっきり甘くしてあげるからね!」

カレーは絶対に辛口だと甘口派の洋一の意見を無視し続ける私に洋一はぶつぶつと文句を言いつつも私の作るカレーをいつも残さず綺麗に食べてくれていた。

たまには洋一が好きなとびっきり甘いカレーを食べてみるのも良いかもしれない。

よし、と意気込みカレー作りを再開しようと袖を捲り上げ直す。

「洋一が買ってくれたデザートは夕食の後、一緒に食べようね」

流行りの歌を口ずさむ上機嫌な私を見て、洋一は目を細めおう、と頷いて笑った。



食べて愛して食べて



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