久しぶりの一日練習オフだからと彼女の名前と映画でも観に行こうかと約束をしていたのだが約束の時間をいくら過ぎても名前はいっこうに待ち合わせ場所に現れない。


何度も携帯に電話をかけても繋がりやしないしいったいぜんたいこの俺を待たせて何してやがんだあのクソバカ女。


「一也!待たせてごめん!!!」
「おせーよ。一時間もなにまたしてんだよ。てか携帯何回も鳴らしてんのに何ででないわけ?」
「ほんとにごめん!久しぶりのデートだからドキドキして昨日寝れなくて時間ギリギリに起きちゃって、急いで家とびだしたけど財布忘れたの気付いて家に帰って、家とびだして走ってたら携帯も忘れたの思い出したけどまた家に帰るともっと遅くなるからそのまま全速力で走ってきた」


ほんとうに走ってきたらしくハアハアと乱れた息を整えながら額の汗をを拭いながら遅くなって本当にごめんなさいともう一度謝った。わざとらしく大きく溜め息ついて名前の頭を撫でる。


「もう怒ってないからいいよ。どっかで休憩して、時間ずらして映画みる?」
「うん。ありがとう」


一也は優しいねと言って名前は顔いっぱいに笑った。俺はこの顔いっぱいに笑ってくしゃくしゃになった名前の笑顔に弱いというのは遅刻してきたこいつには黙っておこう。


たしかこの近くに喫茶店があったはずだしそこで時間でも潰そうかと思い、そこへ移動しようと名前の手を握った。


「手、汗でベタベタしない?」
「気にしねえー」
「気にしないって事はベタベタしてるってことじゃん」


いやだはなせと言われても気にせず、そのまま手をはなさず歩いていると横をすれ違ったギャル二人組が名前を見るやいなや大口開けてゲラゲラと笑いだした。


「あのこ髪の毛ボサボサでやばくない?」
「手つないでる彼氏と全然つりあってないよねー」
「たしかにー。やばいよねー」


こちらを見てゲラゲラと笑い続けるギャル二人組をジロリと睨むとそそくさとそいつらは走り去っていった。そのまま名前に目をやると、急いで走ってきたから髪の毛ボサボサになっちゃってたとヘラリと笑った。


「一也にまで恥ずかしい思いさしてごめんね」


泣きそうな顔して謝るなよ。


「つりあってないって言われちゃった」
「そりゃあ俺も思う」
「じゃあ何で一也は私となんかと付き合ってるの?」
「・・・仕方ねぇーだろ」


馬鹿で忘れっぽくて、笑う時は顔くしゃくしゃにして、辛い時には 無理して笑ったりするお前を好きになっちまったんだから。


しかたないだろ好きになったんだから。



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