今日こそは別れるって言ってやる。そう心に決めて鳴を呼び出した。

私の考えも知らずに鳴は態とらしく不機嫌そうな顔をして、話したいことってなんだよ。俺がプロに入ってから忙しいのわかってんの?まったくってブツブツ言いながら頬をぷくーっと膨らました。

中学から付き合い始めて何度も喧嘩して別れてすぐ仲直りをして元に戻ってを繰り返してきたけれど、鳴がプロに入って私も就職をしてお互いの休みも中々合わず連絡も私からしなければ取ることもなくなっていた。いつだって鳴より私の好きの方が多くて重い。

仲の良い友人も結婚し始めたりとどんどん周りに先越されて、学生時代の友人にはあんたたち結婚する気まったく無いのと心配される始末。

私の初めては全部が鳴で、結婚する相手も勿論、鳴がいい。一緒に幸せな家庭を築きたい。それなのに鳴はそれっぽい台詞も雰囲気も微塵もなくて。結婚願望の無い鳴とダラダラと一緒にいてもこの先どうしようもない。

「ねえねえ、さっきから眉間にしわ寄せてなに考えてんのさ?」

深く息を吸い込んであのねと切り出したところで「あ!ちょっと手相見して」とさえぎられた。

「鳴って手相みれたっけ?」
「鳴様にわからないことはない」

どれどれと言いながら私の手相をじーっと見つめて鳴はゴホンと咳払いをした。

「どーだった?」
「名前の結婚線によると来年には結婚するみたいだね」
「来年?」
「そう、来年。だからさ、一緒にどうですか?」

真っ赤に頬を染めて鳴は「返事は?どうなのさ?」と手相を見ていた私の手をギュっと握りしめた。

私は延々と泣きじゃくり嗚咽混じりの声で、お願いしますと汗ばむ鳴の手を握り返した。


どうやら僕の幸福は君なしでは有り得ないらしい



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