手を繋ぎたい。そんな欲望がわたしの中で渦巻いている。藤くんの綺麗な手に、その温度に触れてみたい。しかしそんなことがわたしにできるはずないのだ。臆病者、こんな自分の性格をなんど呪ったことか!

ふじくん、手を繋ぎませんか。ふじくん、ふじくん。言葉をあれこれ頭の中でうかべるけれどいい台詞が見つからない。どうしようかな、暑苦しいからイヤだとか言われたら立ち直れないかも。歯がゆさで頭はもやもや。
「おい花巻」
「、はい」

手にばかり向かっていた視線をあげれば数歩前を歩いていた藤くんが足を止めてこっちを見ていた。「なに?」問うと、「手繋ぎたいんだろ」とぶっきらぼうに言われた。突き出されている手にわたしは思わず目を見開く。

「もしかして、エスパー?」
「はあ?」
「だって、藤くん、わたしが考えてたこと分かったから」

藤くんはしばらくきょとんとしてから「そうかもな」とにっこり笑った。わたしはどくどくうるさい心臓をなんとか抑えて、その手を取る。意外にもごつごつしているんだなあと感動していると「お前の手って柔らかいんだな」藤くんがそう声を上げた。わたしはいっそう藤くんをたまらなく愛おしく感じ、今度は抱きしめてもらいたいなとさえ思うのだった。(なんて欲張り!)

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テーマ「人外ファンタジー」
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