いつかの病魔騒ぎの時花巻から貰った消しゴムを手の中で弄ぶように転がし、握りしめる。気分は憂鬱で酷く重苦しい。机に上半身を投げ出して、ちらり、教室の少し離れたところにいる花巻を盗み見れば、席についてぼうっとしている姿が見えた。あいつは今何を考えているのだろうか、おれのことだったらいいのに、と思ったのだけれど結局人の頭の中のことなど分かるはずがなかった。その時だった、花巻がおれを見たのは。あまりにも突然のことでおれは「あ、」と声を漏らし一切の動きを止めるしかなかった。花巻の顔は一瞬で強張りすぐに前を向いてしまった。ずしり、心が重くなっていく。花巻がおれのことを考えてれば良いのにともう一度思った。


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