キスのときに真剣な目をする藤くんが好き。唇を離したあとにその顔を遠慮なく眺めていると藤くんがわたしの目をじいっと見つめ返したからぱちりと視線がぶつかって思わずうつむいてしまった。ふわり藤くんの匂い。体は全部その体温に包まれている。しあわせ、だけど恥ずかしくて頭の中は軽いパニック状態。


「今年最後のキスだな」
「、うん」


月明かりに照らされるその口元が楽しそうな笑みを浮かべた。この人のことをよく知る前は、いつもクールでそっけない人なんだと思っていたけれど、こうやって一緒にいられるようになって初めてこんな子供っぽい一面があるんだと知った。なおさら愛おしく、思う。

携帯のディスプレイを見た藤くんが声を上げた。

「あ、もう新年だ」
「本当?あけましておめでとう」
「おう。おめでとう」


そう言ったと思ったら藤くんが体を屈めてまたキスをしてきた。あまりにも突然だったから心の準備ができて、わたしはされるがまま。キスなんて何回しても慣れないからわたしの顔はまたまた真っ赤に染まってしまうのである。


「今年最初のキス」
「藤くんの、ばか」


近くで鐘をつく音が響いている。今年も、隣で笑っている彼が幸せでありますようにと、願った。(A HAPPY NEW YEAR!)

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