彼は他の子たちとは違う。常に違和感を感じていた。その目、声色、ふとした瞬間の仕草。あまりにも大人びてちっとも少年らしくない。そんな彼に自分は少なからず動揺している。
「もしおれが大人の女だったらあんたのことを誘惑できるの?」
薬を調合していた最中、窓際のベッドでサボっていたはずの藤くんが、いつのまにか後ろにいた。背にこどもの暖かな体温が張りつく。甘い匂いに頭がくらくらした。許されるはずないのに押し寄せてくるような愛おしさを覚えた。その手が少し震えているのは彼の計算の内なのだろうか。ああ、だめだ、この少年がいとおしい。見ないフリも知らないフリも、きっともう限界、