第七班演習日和
演習場に着いた第七班。試験を兼ねた演習の内容は、担当教忍であるカカシの腰に着いた鈴を奪い取ること。
鈴は二つしかなく、必然的に三人は争うことに……
「何で二つ!?ちゃんと三つ用意しておいてくれってばよ…」
「いやいやそれじゃ試験にならんでしょうが」
「ごちゃごちゃうるせぇぞウスラトンカチ、やるならさっさと始めようぜ」
「ムカッ」
「お前らオレを殺す気で来いよ、そうじゃなきゃ一生取れないぞ」
「どうだかな」
「カカシ先生ってばオレのトラップに引っ掛かったくせに…全然説得力無いってばよ」
「はいはいそれもう良いから…じゃあ……始めるぞ」
カカシの合図と共に、三人はそれぞれ森に散って行った。
「………みんな隠れたな…」
一人呟くカカシを草陰から伺いながら、サスケは周りの気配を確認していた。
待ち合わせの橋からずっと、第七班以外の気配をいくつか感じていたからだ。
「カカシの野郎は気付いてねぇのか…?いや、そんなはずないだろうし……………ん?」
イチャイチャパラダイスと書いてある何やら怪しげな本をカカシは取り出した。そういえば今朝兄さんが言っていたな、などと思い出す。
「……まさか本当に気付いて無いのか…」
第七班の未来が少し不安になったサスケだった。
そんな事を考えていると、ナルトは正々堂々と勝負などと言ってカカシの目の前に仁王立ちをしていた。なんてアホなんだとカカシは一つため息をした。
「あのさあ、なんかズレてない?」
「ズレてんのは先生の髪型だろ!」
「全く、お前さぁ…………あれ?ナルト?」
カカシが顔を上げた時にはすでにナルトの姿は無かった。
もちろんサスケやサクラもその瞬間をしっかり見ていた。たった一瞬で、ナルトの姿が消えたのである。
そのトリックに気づいたのか、呼び出し用の鳥に気づいたのか、カカシは視線を上に移した。
「………ふう」
本を閉じると、頭上を確認しそしてまた一つ本日何回目かのため息をついた。
「三匹…か」
手を叩き、ナルト達に中断して集合するように合図をし、集まったところで再び本を取り出す。またかよ、という三人の冷たい視線は無視である。
「ちょいと先生お呼び出し入っちゃったから、ここで待機しててもらえる?」
「何かあったんですか?」
「あー、まあ理由はなんとなく分かるから……まあとりあえず出て来ればお二人さん」
「「「……………は?」」」
「じゃあすぐ戻るから」
瞬身でカカシが姿を消すと、三人は「二人って誰?」と相談し合い始めた。
「……さっきっから、オレ達以外の気配を感じていた」
「げっ!マジかよ、どんな?」
「分からない…かなりのやり手だとは思う」
「私たちを着けてたの!?」
「さあな……聞いてみるのが1番だろ。…どうなんだ?出て来いよ隠れてないで!」
サスケが声をあげると、背後の草陰から足音がし始めた。三人は若干の緊張を持ちながら、ゆっくりと振り返った。
「……バレてたとはね…さすがカカシかな」
「いや、さすがサスケ…でしょう」
「先に気づいたのはカカシでしょ」
「サスケはきっとその前から気づいてました」
「「「………え………」」」
「………な、」
「なんで父ちゃんがここにいるんだってばよ!?」
「なんで兄さんがここにいるんだよ!?」
「そ……それはだね…ナルト…」
「ダメじゃないですか火影様、あなたが仕事なんかサボっちゃあ、ねえナルトくん」
「いやあナルトが心配でさぁ…
…ていうかイタチに言われたくないんだけど」
「さっきカカシが呼ばれたのはアンタらのせいか…試験中だったのに邪魔すんなよな」
「…父ちゃんもしかしてさっきオレを時空間で飛ばした?」
「………テヘペロ☆」
「く、くそ!なんか怒れねえ!」
やれやれ、というようにサスケがため息をついた。
「四代目、兄さん…」
「ん?」
「帰りましょうね?」
満面の笑顔でそう言ったサスケ。しかし、手の骨をボキボキと鳴らす様を見て、ミナトもイタチも少しだけ一歩後ずさった。
「そ、そうだねそうしよっか、ねぇイタチ」
「えー火影様だけ帰れば良いじゃないですか皆さんお探しなんですから」
「「「二人とも帰ってください」」」
「「………………はい」」
ミナトが執務室へ戻り、カカシが無事戻ってきたことで、七班の演習は再開した。
「ただいまー」
「おかえりサスケ」
「演習はどうだったんだ?」
「聞いてよ、今日兄さんが…」
「あああああああああ!!!!!」
「…イタチ?どうした?」
「サスケ、ほら今日はお前の好きなトマトのマリネだ。黙ろうか」
「いや兄さんが作ったんじゃねぇじゃん」
「だ ま ろ う か」
「……………はい」
「「……?」」
うちは家は、やっぱり今日も平和です。
fin.
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先に謝らせてください兄弟中心なのに七班の方が多くなってしまいましたごめんなさい!!!
こちらよりサスケ誕の方が良かったらそちらをお受け取りください(;_;)
リクエストありがとうございました!
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