供養したいから
2020/09/05 01:23

こちらに自己満足で載せます。
マルコさんのお話ではないので興味のない方が多いかも。今も好きだけど、初めて夢を読んだのはローさんでした。凄く凄くハマって、気づいたらマルコさんに辿り着いてました。それで一度ローさんで夢を書いてみようとしたことがあったんです。その残骸を先日発見してしまい、今後続きを書くことはないけど初めて書いた夢を消去するのもなぁと眺め続けて、こちらでこっそり載せて供養したいなと思いました。
ローさんの性格や仕草、思考などどれだけイメージしても書けなかった。マルコさんしか書けない私は応用がきかない脳みそのようです。
この話は終わりすらないからどうかどこかの世界では完結して幸せになってほしい。


『文字に沈む』

「出てこい」

何を言ってるんだ?とその場にいたほぼ全員が思ったことだろう。
戦闘でボロボロだった通称死の外科医はどこからともなく本を取り出して言った。その本は青い布張りで、それほど大きいものではなかった。男の手のひらほどのサイズで、それが一体何なのかさっぱりわからなかった。その男は長い剣を脇に持ち替え、本の表紙をそっと撫でた。

すると、本を開いた外科医はくく、と喉で笑いまるで本と会話しているようだった。

「もう終わった。出てきても大丈夫だ」

その言葉を皮切りに、本のページが勝手に捲り出した。まるで風を一気に浴びているような勢いだが、言うまでもなくそんな風は吹いているはずもない。
ページというページから、文字が溢れて出て行く。まるで文字が自我を持って動いているかのようで、それらは本の前に巣を作り形を成していこうとしていた。
呆気にとられる周囲に目もくれず、死の外科医はじっと見つめていた。

文字が形を作り、色を作り出し、文字という海からたった今浮上したような格好でその人物は現れた。蹲り、黒く背中まである髪が頭の動きにあわせてしなやかに揺れる。けほ、と咳き込み、それは視線を上にあげた。

「…ロー」


それは女だった。

黒い髪、華奢な体、黒い目、白い肌。
どこにでもいるようで、どこにもいないような不思議な女だった。ローと呼ばれた死の外科医改めトラファルガー・ローは、女の前にしゃがみ込むと何だと返事をすることもなく長い妖刀を肩で押さえ、もう片方の手で女の目元をつ、となぞる。

女は、泣いていた。

女は両手で顔を覆い、溢れる涙を抑えきれないようだった。時折肩が震え、ひく、と漏れる声。地面に落ちた雫は遠慮なくその水分を吸収していく。

一体この女はなんなのか。なぜ本から女が出てきたのか。なぜ気配すら感知出来なかったのか。十中八九能力者だろう。なぜトラファルガー・ローはドフラミンゴを討った今、同盟である我々のいる前でわざわざ呼び出したのか。
疑問だらけであるが、今の状況では声はかけにくい。こういう時は見守るに徹するが良しである。

「あ、…あなたはいつも!いつも!っ怪我ばっかりして」
「あぁ」
「いっつもいっつも!何にも教えてくれないくせに!」
「あぁ」
「いっつも!ちっとも話も聞いてくれない!」
「聞いてるだろうが。ただ、お前のお願いは聞けねぇってだけだ」
「あ、あんな!あんな…こんなに怪我してっ!う、腕がっ…そんなの黙って見てろだなんてできるわけないじゃない!」
「人前で姿を出すなって言っただろうが」


 これで止まってるんです。もう昔の自分が何をしたかったのかわからない。ただ海では泳げなくても自由に物語の中を泳げるような夢主がいいなぁと思ったのは覚えています。今となっては残骸でしかないですが、大事な一歩でした。
あまり関係ないお話でした。見てくださってありがとうございました。更新の準備に戻ります。



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