それでも奴等は変わらない(監獄組)*

(イペリット+ヤイバ+スピネル+セツ+(直接名前は出てないけど)娥さん)





ガシャン、と牢の重たいドアが閉まる。続いてガシャリと鍵が閉められ、男は息を吐く。男が戻って来たのに気付き女の媚びるような声が響く。

「ねーぇ?またあの女の子かしら?」


先程の面会の相手を知りたがっているのだろう。別に隠しているわけではなく、むしろ前に話した事もあるので男は合っている事をにこやかに告げれば「よく来るわね」と弾んだ声…しかし何処か冷たさを感じる言い方をして言った。

男は毒を使い大量に人を殺した極悪人。その殺した人の中に少女の大切な人がいたらしく、男の居場所を知ってからは頻繁に会いに来るのだ。そして復讐への決意を固めているようだ。


「まったく、来ても私を殺す事は出来ないというのに」

「本当に!だいたい何時出れるか…ってか生きてる内に出られるかもわからないのにね!!」

やれやれというように頭を振り言えば女はけらけらと笑い返す。






「………その女の子は可哀想だな。あんな奴に大切な人を奪われるなんてな」

毒使いの男の前にいる焦げ茶色のフードを着た男は話の少女を憐れむ。その言葉を聞く看守は澄んだ小さな声で返す。

「貴方も表じゃ同じような扱いをされているわ。他人の事言えない」

「はぁ!?まじか!!」

「まじ」

はぁぁ…と大袈裟に溜め息を吐き頭を抱える。看守はそれを見て何の感情も面に出さずただ眺める。息を吐き、また吸うと今度は自嘲気味に小さく笑う。

「そうだよな…俺も所詮人殺しだ」

「どんな理由が有ろうとも此処にいる人達は皆そういう罪を負っているわ。貴方も例外ではない。表では皆同じような扱いよ」

「最後の、2度も言わなくていい」

「そう…」


何を今更と言わんばかりの、だが無表情の看守を見てまた溜め息。まだけらけら笑い合いながら話す罪人を見遣る。

「あんたほんとに女の子にモテるわねー」「嫌味ですか?」「事実よー?復讐する女の子に恋する救われた女の子!まだいたりしてね!」「ご冗談を!」「あはは!好きな子でも出来たら言いなさいよ、綺麗にしてあげるわー!」「お気持ちだけ受け取っておきますよ」「あら?謙遜してるのかしら?」

こんな奴等と同じに思られてるなんて…屈辱のような感情がフードの男に迫り上がる。ゆっくりと立ち上がり大きく息を吸う。



「てめぇら!!うるせぇぞ!!ぶっ殺されてぇのか!!!」


「やー、こーわーいー!!看守さーん!」

「相変わらず単細胞で野蛮ですねぇ」


騒ぎ出す、もう常習犯となる怒声で喚き散らす男と笑いからかる男女を看守はそれでも無表情で、制するべく能力を使う為静かに目を閉じた。

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